「子育てエコホーム補助金」で、中古購入×リフォームを成功させよう!

「子育てエコホーム支援事業」は、令和5年度補正予算2100億円を投入して創設された(予算成立が前提)国交省の住宅支援事業です。令和4年度補正予算で創設された「こどもエコすまい支援事業」の後継として、更なる省エネリフォームと子育て支援を推進する狙いがあるようです。

新築住宅も補助の対象になっていますが、中古住宅を購入してリフォームを計画している、子育て世帯を中心とした買主さん達にピッタリな制度とも言えますので、積極的な利用を検討されては如何でしょうか。

 

令和5年11月27日に国交省が発表した事業の概要について、個人がリフォームする場合に特化した内容を以下に分かりやすくまとめてみましたので、是非、参考にしてください。

(11月27日以降、内容については文言の追加や変更が進んでいます。最新情報は、国交省のホームページで確認してください。)

 

国土交通省HPより転載
国土交通省HPより転載

「子育てエコホーム支援事業」の目的

国交省の発表によるとこの事業の目的は、「エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、彼らによる省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図る。」というものです。

エネルギー価格高騰の影響を受けるのは、なにも子育て世帯や若者夫婦世帯だけではないので、ちょっと腑に落ちない点もありますが、お役所的にはこれがもっともらしい目的なのでしょう。

省エネリフォームはその効果が分かり難いので、少ない予算で投資をするのは難しい…、でも補助金である程度賄えるのであれば、リフォーム計画に積極的に落とし込むことができるようになりますよね。

 

補助の対象となるリフォーム工事

住宅の所有者が、施工者に工事を発注して実施するリフォームしか対象となりません。なのでDIYは対象外です。所有者とは、現在住んでいる自宅の所有者、または、購入する中古住宅の買主を指します。施工者とはリフォームが実施できる事業者(本事業の登録事業者)であり、双方で工事請負契約を交わす必要があります。

また、補助金申請は登録事業者が行うことになっており、住宅の所有者(一般消費者)は申請者にはなれません。つまり、双方の協力関係が不可欠だということです。

 

補助対象期間

以下が対象となります。(別途、事業者登録や申請期間等も定められています。)

① 工事請負契約

今回も前回同様、工事請負契約時期の縛りはありません。補正予算閣議決定日(11月2日)以前に契約したものも、工事の実施時期の要件が合えば申請可能です。

② 工事の実施

契約締結したリフォーム事業者が、令和5年11月2日(補正予算閣議決定日)以降に工事に着手し、令和6年12月31日までに工事が完了するもの(交付申請期限も同日です。)

※ 但し、補助金申請は登録事業者しかできませんので、工事を実施するリフォーム事業者は、申請前に登録事業者になっておく必要があります。

 

リフォーム工事によって満たすべき住宅の性能と補助の対象

まず、次の①~③のいずれかに該当するリフォーム工事を含んでいることが必要であり、またこれらは補助の対象となります。

但し、一申請あたりの合計補助額(①~⑧の合計)が5万円未満の場合は申請できないことになっています。例外として、経済産業省及び環境省が実施する補助金制度(本事業の連携事業)を同時利用する場合は、上記工事要件を満たしたものと見なされ、一申請あたりの合計補助額が2万円以上あれば申請可能となります。

 

①開口部の断熱改修

  • ガラス交換
  • 内窓設置(既存内窓交換を含む)
  • 外窓交換(新規外窓設置を含む)
  • ドア交換(新規ドア設置を含む)
    ※ 改修後の開口部が基準値以下の性能を有するために行うものに限る。

 こどもエコすまい補助金と同じ扱いですが、省エネのレベルによって補助額が設定されています。ZEHレベルの省エネを喚起する作戦ですね!(^^)!

 

②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修

  • 外壁、屋根・天井、床のうち、いずれかの断熱性能を向上させるための改修

 ※ 改修後の外壁、屋根・天井または床の部位ごとに、一定量以上の断熱材を使用するものに限る。

 

こちらも、こどもエコすまい補助金と同じ扱いですが、ZEHレベルに省エネ性能を引き上げた場合は、補助額が上がります。

 

③エコ住宅設備

  • 太陽熱利用システム
  • 節水型トイレ
  • 高断熱浴槽
  • 高効率給湯器
  • 節湯水栓
  • 蓄電池

※ 基準を満たすものに限る。

 

上記①~③のいずれかの省エネ改修工事を行えば、更に下記④~⑧についても補助の対象となります。

 

④子育て対応改修

  1. 家事負担の軽減に資する設備(基準を満たすものに限る)を設置する工事
  2. 防犯性の向上に資する開口部の改修工事(基準を満たすものに限る)
  3. 生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事(基準を満たすものに限る)
  4. キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事(基準を満たすものに限る)

 ※ 1の設備とは下記に示すもの

・ ビルトイン食器洗浄機
・ 掃除しやすいレンジフード
・ ビルトイン自動調理対応コンロ
・ 浴室乾燥機

・ 宅配ボックス

  

⑤防災性向上改修

  • 防災性の向上に資する開口部の改修工事

※ 基準を満たすものに限る。

 

⑥バリアフリー改修

  • 手摺の設置
  • 段差解消
  • 廊下幅等の拡張
  • 衝撃緩和畳の設置

※ 基準を満たすものに限る。 

 

⑦空気清浄機能・換気機能付きのエアコン

  • 空気清浄や換気を目的とした高性能のエアコンを設置する工事

※ 基準等を満たすものに限る。

 

⑧リフォーム瑕疵保険への加入

既存住宅売買瑕疵保険とは別の保険ですから注意してください。リフォームの発注先である工事事業者が、リフォーム瑕疵保険への加入手続きができない場合は申請できません。

 

補助額の算定方法と上限額

補助額は、前項で示した①~③のいずれかに該当するリフォーム工事を実施する場合に、対象となるリフォーム工事に応じて、①~⑧に対して定められた補助額を合算し、一申請ごとに算定します。

一申請あたりの合計補助額が5万円未満の場合は申請できません。例外として、経済産業省及び環境省が実施する補助金制度(本事業の連携事業)を同時利用する場合は、上記工事要件を満たしたものと見なされ、一申請あたりの合計補助額が2万円以上あれば申請可能となります。

 

また、補助額の上限は下記のように決まっています。 

  1. 子育て世帯又は若者夫婦世帯が、既存住宅を購入してリフォームを行う場合…60万円
  2. 子育て世帯又は若者夫婦世帯が、長期優良住宅の認定を受ける場合…45万円
  3. 子育て世帯又は若者夫婦世帯が、自宅のリフォーム(長期優良以外)を行う場合…30万円
  4. 上記以外のその他の世帯が、長期優良住宅の認定を受ける場合…30万円
  5. 上記以外のその他の世帯が、上記以外のリフォームを行う場合…20万円

ここで特筆すべき点は、最低補助額が30万円から20万円に引き下げられていることです。分かりやすく言うと、「子育て世帯でも若者世帯でもない中高年世帯が、長期優良住宅の認定要件を満たさないような自宅リフォームをする場合の補助額は、最高20万円」ということです。まさに政策誘導型!!「自分勝手にやりたいリフォームだけしても補助金は出しませんよ。単なる経済対策じゃないんですからね。 」って言ってるみたいに感じますね。

 

ちょっと分かりにくいので更に説明しましょう。それぞれの判定は、売買契約の額や契約(売買及び請負工事)の締結日などによるところもありますので注意が必要です。

  • 売買契約額は100万(税込)以上であること
  • 売買契約日は令和5年11月2日以降であること
  • 自ら居住する目的で購入した住宅を補助対象とする場合は、売買契約締結から3ヶ月以内にリフォーム工事請負契約を締結すること

なお、子育て世帯とは18歳未満の子を有する世帯であり、若者夫婦世帯とは夫婦のいずれかが39歳以下の世帯です。詳細に記述すると以下の通りです。

 

(子育て世帯)

申請時点において18歳未満の子(年齢は令和5年4月1日時点、すなわち平成17年(2005年)4月2日以降に生まれた子)を有する世帯

 

(若者夫婦世帯)

申請時点において夫婦であり、いずれかの年齢が39歳以下(年齢は令和5年4月1日時点、すなわち昭和58年(1983年)4月2日以降に生まれた人)である世帯

※ 但し、令和6年3月末までに工事着手する場合においては、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下(すなわち昭和57年(1982年)4月2日以降に生まれた人)の世帯とする。

 

対象工事内容ごとの補助額について

代表的なものについて以下に示します。

①開口部の断熱改修

分類 大きさの区分 ガラス交換 内窓設置・外窓交換 ドア交換
省エネ基準レベル 11,000 円 25,000 円 37,000 円
8,000 円 20,000 円

3,000 円 17,000 円 32,000 円

ZEHレベル

14,000 円 34,000 円 49,000 円
10,000 円 27,000 円

4,000 円 22,000 円 43,000 円

※ ガラス交換については、箇所数ではなくガラスの枚数で計算する。

※ 開口部の面積により大きさの区分が定められている。

※ 内窓設置だけでなく、内窓交換も対象となる。

※ ドアのガラス交換は対象外!

 

なんと、「こどもエコすまい」に比べると補助額が軒並み上がってますよ!! しかもZEHレベルの方が上がり幅は大きいです。でも、確かにZEHレベルは高性能ですが、商品(内窓や外窓など)の価格も跳ね上がります。省エネ基準レベルとの補助額の差で賄えるかと言うとそれは無理。

そこで朗報!前回と同様に「先進的窓リノベ」も継続されることになりました!(^^)!

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②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修

分類 外壁 屋根・天井  
省エネ基準レベル 56,000 円 / 戸 20.000 円 / 戸 36,000 円 / 戸
ZEHレベル 75,000 円 / 戸 27,000 円 / 戸 48,000 円 / 戸

※ 上記はリフォームによる部分断熱の場合(性能による指定数量以上を使用した場合に限る)

※ 三つの部位すべてを断熱する必要はなく、実施した部位それぞれについて申請可能。

 

こちらも、省エネレベルによって補助額に差があります。市場に存在する断熱材の性能はピンキリなのです。「こどもエコすまい」に比べると、床の補助額だけがわずかに上がっています。

 

③エコ住宅設備の設置

エコ住宅設備の種類  補助額
 太陽熱利用システム  30,000 円 / 戸

節水型トイレ

掃除しやすい機能を有するもの

22,000 円 / 台
上記以外 20,000 円 / 台
高断熱浴槽  30,000 円 / 戸
高効率給湯機  30,000 円 / 戸
節湯水栓  5,000 円 / 台
蓄電池 64,000 円 / 戸

※ 太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器、及び蓄電池については、その設置台数によらず、設置を行った設備の種類に応じた補助額とする。

※ 節水型トイレ、及び節湯水栓については、設置を行った設備の種類に応じた補助額に、その台数を乗じた補助額とする。

 

 「こどもエコすまい」よりも、各設備の補助額が上がっています。(節湯水栓と蓄電池は据置でした。)

 

④子育て対応改修(1.家事負担の軽減に資する設備を設置する工事)

子育て対応改修には4種類の改修内容がありますが、ここでは、1.について詳しく記述します。

家事負担軽減に資する住宅設備の種類 補助額
 ビルトイン食器洗浄機 21,000 円 / 戸
掃除しやすいレンジフード 13,000 円 / 戸
ビルトイン自動調理対応コンロ 14,000 円 / 戸
浴室乾燥機 23,000 円 / 戸
宅配ボックス(住戸専用の場合) 11,000 円 / 戸

なぜか、掃除しやすいレインジフードと浴室乾燥機の補助額だけが若干上がってます。どちらも人気があるのかもしれませんね。確かに便利なので!(^^)!

 

子育て対応改修の目玉ともいえる「4.キッチンセットの交換を伴う対面化改修」と併用する場合は注意が必要です。対面化改修の補助額は、90,000 円 / 戸 と高額ですが、選定したキッチンセットに「掃除しやすいレンジフード」や「ビルトイン自動調理対応コンロ」がついていても、重複して補助を受けることはできません。

 

⑤~⑧についても同様に補助額が定められています。詳しくは国交省のホームページご確認ください。

 

申請方法等

本事業は、工事施工業者が工事の発注者から委託を受けて補助事業者となり、補助金の申請及び交付を受けるものです。交付された補助金は工事の発注者に還元することが前提であり、申請にあたっては共同事業としての同意が必要です。

リフォーム工事に対する補助金の申請時期は、すべての工事の完了後となっています。事業者登録期間や申請期間が定められていますので、全体の計画と工程を管理しながら準備を進めることが大切です。

 

事業者登録期間

令和6年1月中旬~遅くとも令和6年12月31日(予定)

交付申請期間

令和6年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも令和6年12月31日)(予定)

 

こどもエコすまい支援事業において事業者登録を受けている者は、本事業の事業者登録を希望するものと見なされます。こどもエコすまい補助金の交付申請実績がある事業者として、新たに始まる子育てエコホーム補助金に関しても、消費者の相談にいち早く応じることができるのです。

 

提出書類

リフォームで申請を行う際に提出が必要な書類は、次のA~Eのすべての書類です。加えて、リフォームを行う世帯の属性(子育て世帯又は若者夫婦世帯)や既存住宅購入を証明するためにはF~Jの書類も必要になります。

(必須)

A. 共同事業実施規約(指定の書式)

B.工事請負契約書の写し

C. 工事発注者の本人確認書類(運転免許証の写し等)

D. 対象工事内容に応じた性能を証明する書類等(納品書や性能証明書、工事前後の写真など)

E. 工事着手したことがわかる写真(予約申請時のみ)

 

(世帯の属性を証明する場合)

F. 申請時点における住民票(世帯全員)の写しなど

 

(既存住宅購入を証明する場合など)

G. 不動産売買契約書の写し

H. 不動産登記の全部事項証明書

I. 工事発注者の住民票の写し

J. 長期優良住宅認定書の写し(長期優良住宅認定で補助上限額の引き上げを受ける場合のみ)

 

提出先

書類の提出を含めた申請手続きは、今後選定される事務局に対して、申請者(工事事業者)がオンラインで行う必要があります。

 

 如何でしたか?

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金申請に比べれば、各段に利用しやすくなっています。申請は事業者に委託しなければいけませんので手数料の支払いが必要になるかもしれません。それでも、長期優良住宅化リフォーム推進事業に比べれば、事前インスペクションや適合判定の手間、維持管理計画書の作成などは必要ありませんので、手続き費用は随分抑えられるのではないでしょうか。補助金の上限額は20万から60万と幅がありますが、むしろ獲得しやすい現実的な補助額だと思います。

いずれにしても、プロのサポートがないと申請はできません。早めに計画を立てて行動することが、成功への第一歩となるでしょう。

 

補助金利用には綿密なスケジュール管理が欠かせない

不動産購入を思い立った時、今までなら不動産仲介会社に相談すれば事足りていました。しかし、取引の中心が中古物件に移行した今、建物の状況を正確に把握しリフォームで改善することを考えれば、物件購入の流れと並行して、建物の調査・診断・リフォーム計画を同時進行で行うことが非常に重要になってきます。

特に補助金を使ってリフォームをする予定なら、購入予定の建物が補助金の要件にあっているか、計画しているリフォーム工事が補助金の対象となるかなど、早い段階で知る必要があります。マイホーム取得という目的に向かって全ての流れを滞りなく推し進めていくには、不動産にも建築にも精通したプロのサポートが不可欠なのです。

 

リフォーム計画を立てるにも、補助金を申請するにも、対象となる住宅が確定しなければできません。「中古住宅購入×リフォーム」を成功させたいなら、不動産購入の正しい道筋を早めに歩き出すことをお勧めします。

  

 

私たち「いえあーる」は、宅建業者であり一級建築士事務所でもあります。中古住宅購入からリフォーム工事までワンストップで対応できるのが最大のウリなのです。

 

今回は建築サイドのお話しでしたが、マイホーム購入のポイントも山ほどあります。無料の対面相談も行っていますので、「もっと詳しい話が聞きたい!私の話も聴いてほしい!」という方は、お住まい相談室に是非お越しください。

 

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