住宅ローンを選択する場合、変動金利にするべきか固定金利にするべきか大いに悩むところだと思います。
歴史的低金利時代と言われて久しいですが、住宅ローンの金利は、未だ低水準で推移し続けています。変動金利を見てみると、平成3年ぐらいまではバブル期真っただ中で8%まで上昇!その後バブル崩壊とともに急降下、平成8年頃から現在に至るまで基準金利は3%を切った状態を維持しています。実際には優遇金利が適用されることが多いので、今でも1%を下回る金利で借りることができるのではないでしょうか。
単純にスタート時点の支払額を抑えたいなら、今は変動金利の方がいいと思いますが、住宅ローンは長丁場。途中でどうなるかわからない不安要素をかかえたくないなら固定金利の方が安心です。固定金利で一番金利が低いのは何といってもフラット35。ただ、一般的な金融機関の住宅ローンとは一線を画す存在です。大きな違いは、融資対象となる建物に細かい要件があるということです。
フラット35を取り纏める「住宅金融支援機構」は、住宅金融市場における安定的な資金供給を支援し、住生活向上への貢献をめざす独立行政法人機関です。(旧住宅金融公庫の業務を継承)民間金融機関と提携して全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」を提供し、独自基準に適合した良質な住宅の普及を推進しています。新築住宅はもちろん、中古住宅購入にも利用でき、購入と同時にリフォームをする場合にはその費用も含めた借入が可能です。
一般の金融機関でも「中古購入+リフォーム」で住宅ローンを組むことは可能ですが、フラット35には更なる特典があるのです。リフォームによって、基準を上回る性能向上を果たした場合、ある一定期間の金利が引き下げられるというものです。これは、機構が目指す「良質な住宅の普及」という観点から考えると理にかなった特典です。同じリフォームをするにしても、表面的な自分好みのリフォームではなく、社会的資産として良質な住宅を維持するリフォームは優遇されるということです。もちろん、ここでいう性能向上リフォームは、住環境を整え住まい手の暮らしの質を上げることにもつながりますので、是非ともリフォーム計画に取り入れて検討したいところですね。
当たり前のことですが、物事はいい面ばかりではありません。逆に、フラット35には使いにくい面もあります。融資限度額が「物件(+リフォーム)」額の9割までと決まっているのです。10割に引き上げることもできますが、そうすると、金利も引き上げられるというペナルティがつきます。また、他社の住宅ローンと違って諸費用分は融資対象になりませんので、ある程度の自己資金を用意する必要もあります。決済時期も、物件引渡し時ではなくリフォーム完了後ですので、つなぎ融資の準備も必要です。(つなぎ融資…物件引渡し時に必要な残代金を支払うためにつなぎで融資を受けること。リフォーム完了後にフラット35実行と同時に完済する)
このようにフラット35は魅力的な商品ではありますが、使い勝手がイマイチな面があります。不動産購入のスケジュールに並行して手続きを進めていかないと、有利に働く点ばかりではないのです。また、明らかにフラット35の基準に満たない物件もあります。早い段階でその点に気づけないと、どんなにその家が気に入ったとしても「フラット35でマイホームを取得する」という希望は叶えられません。
あなたが、どうしても固定金利の安心を手に入れたくて、フラット35が気になってしょうがないのなら、うまく行きそうか、一緒に考えてみることもできますよ。