皆さんは「住宅すごろく」という言葉をご存知ですか?
「ふりだしは新婚時代の小さなアパート、子供が生まれるころに少し広めの賃貸マンションに移り、やがて分譲マンションを手に入れ、家族の成長と共にマンションが手狭になったころ、それを売り払って庭付き一戸建てを購入してあがり!」という、今までの典型的な住み替えパターンをすごろくに見立てた造語です。私たちも、まさにこのすごろくに乗っかって次のステップに駒を進めるように住み替えた…今となってはそんな感じがします。
新築マンションはそれなりに快適で、小さい子供たちを育てる環境としては悪くなかったと思います。が、長男の小学校入学が間近に迫ってくると、校区のはずれに住んでいるがためにバス通学を余儀なくされることにハタと気づいたのです。これは難有りなのではないかと思い始め、住み替える決心をしました。
結局、築5年で売却したのですが、購入価格は1400万、かたや売却価格は1200万、5年で200万価値が落ちたことになります。しかも、購入当時に組んだ住宅ローンは諸費用を含めて1500万、売却当時の残債は1450万!5年間支払い続けたのはほとんどが利息部分で、元本はわずかに減っただけだったのです。それもそのはず、その当時の金利は6.3%!全期間固定の元利均等返済・ボーナス払い併用で、毎月の支払額は4万円ほどでした。
確かに、修繕積立金や管理費を加算しても、家賃程度の支払いだったのは間違いありません。が、よく考えもせず思い付きで購入した結果、完済のためには更に250万の追銭が必要になったというわけです。
高度経済成長期においては、住宅すごろくが示す通りに住まいのグレードアップを果たした人もたくさんいました。終身雇用と年功序列で給料は右肩上がり、消費が美徳と言われた時代です。しかし現在は、従来の社会的構造が大きく変化し、働き方も消費活動も将来的な不安感も、先が見えない不安定さを抱えています。だからこそ、安住の地である住まいを手に入れたいと思う気持ちは強く、一生に一度の大きな買い物という感覚は増しているのではないでしょうか。
購入したマイホームの価値を下げたくなかったら、長く住み続けることが一番です。自分の住まいとして活用している間は確かに役立っているわけで、価値が目減りすることはありません。売却した結果、初めて価値の増減が確定するのです。
マイホーム購入はくれぐれも慎重に…。「終の棲家」という考え方は今の時代にそぐわないのかもしれませんが、長く快適に暮らせる我が家を手に入れるため、情報収集と比較検討に時間をかけるべきでしょう。