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【福岡発】所有権はあれど100%自分の物ではない!?住宅ローンと抵当権はセット品のようなもの

以前、車を買い替えたとき、初めて知ってびっくりしたことがありました。5年間共に走り続けた我が愛車、実は自分のものではなかったのです!

そう、車検証の所有者欄にはクレジット会社の名前が…。代金の1/3はカーローンを組んだのでそのような記載になったのでしょうね。全額払って初めて自分のものになるなんて、知らなかった…たとえ半分以上払っていても支払いが終わらない限りは自分のものにならないんですね!

 

これは、専門的な用語で「所有権の留保」というそうです。「いずれ完済すれば購入者の所有になるんだけど、まだ支払い完了してないのでそれを留保してますよ」ってことです。つまり、平たく言えば貸してもらってる状態ですね。もし途中で返済が滞るようなことがあったら売却して回収するという最後の手段を残しているわけです。なるほど…。結果、下取りに出すときも右往左往、とにかく完済しないと買ってもらえないので、あと数か月分でしたが現金をかき集めて完済し、所有者変更の手続きをとりました。

 

では、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合はどうなるのでしょうか?さてここで質問、「抵当権」って聞いたことありますか?「抵当権」とは、「住宅ローンの返済が滞ってしまった場合には、その不動産を競売にかけて、その売却価格から優先して返済をしてもらいますよ」という権利です。「抵」という字も「当」という字も共に「あてる」という意味ですから「いざとなったら、その不動産を借金の返済にあてるよ」という意味なんでしょうね。車の場合と違うのは、所有権は買主さんにあるということ。そう、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、所有権と抵当権はセットで登記されることになるのです。

 

「自分たちはこの家で生活してるのに競売って何!?どうなるの?」と思っちゃいますよね。それにはいくつかの手順と段階があります。ローンの返済が滞ってしまった場合、まずは銀行から督促状が届くようになります。それでも返済が為されないと、保証会社が銀行に代位弁済を行い、今度は保証会社から一括請求されるようになるのです。毎月の返済すら滞っているのに一括返済なんて現実的には無理な話。そうなると裁判所により「競売」手続きが開始され、不動産は「差押え」状態に…。このタイミングでもまだ返済ができれば差押えは取り下げられますが、競売手続きによって「競落人(=購入者)」が決まり代金が納付されると、ついに所有権を失ってしまいます。こうなってしまうともう退去するしかありません。そのまま無理に居座ると「不法占拠者」扱いとなり強制執行の対象になってしまいます。

 

ここで認識すべきことは、抵当権者は銀行ではなく保証会社だということ。返済が滞っても銀行が直接困ることはないのです。保証会社に泣きつけば全額代位弁済されますし、その回収は保証会社がすべきことであり銀行は取り立てまがいの事をしなくても良いのです。しかも保証料は借入する個人が負担、更に、抵当権の設定費用も当然買主さん持ちです。

 

住宅ローンを組むということはそういうこと。「住宅ローンを組むための諸費用」として当たり前に支払いを求められるのです。正確に言うと、銀行に支払うべき諸費用は借入額から有無を言わさず差っ引かれて入金されるということです。入金された直後には売主さんへの残金支払等に配分されてしまうので、お金の流れをちゃんと押さえておかないと「何のために何が行われたのか」分からないまま置き去りにされちゃいますよ。銀行は住宅ローンのことだけしか説明してくれないし、不動産業者は仲介に関することだけしか教えてくれません。次に何をすべきか、そしてそれは何故必要なのか、全体を見渡す時間的な余裕がなければ不安ばかりが増すことになりかねませんよね。そう思いませんか?