週明けの月曜日、いつものように大阪の街が動き始めたころ、震度6弱の地震が発生しました。
不幸にも、通学途中の小学生が、プールの目隠し用に立てられたブロック塀の下敷きになり命を落としてしまいました。ニュースの映像から、一目で問題があるブロック塀だということがわかります。高さ的なものも構造的なものも基準に適合しておらず、何故あのようなものが公然と築造されたのか甚だ疑問に感じます。しかも、学校という公共施設における工事なのに、誰も異論を唱えなかったのかと不思議でなりません。朝、いつものように元気に出かけていった我が子が帰らぬ人になるなんて、誰が想像するでしょう… でも、それが「地震」なのです。
福岡の街を見渡せば、同じように危険なブロック塀が山ほどあります。平成17年3月に発生した福岡県西方沖地震は記憶に新しいかと思いますが、あの時も、ブロック塀の倒壊による被害者が出ています。固くしっかりしているように見えるブロック塀でも、地震がひとたび起こると、いとも簡単に揺れ始め、自重が手伝って揺れは更に増幅し、いずれ耐えられなくなって倒壊してしまうのです。例え危険なブロック塀だとわかっていても、それを取り締まる制度はありません。所有者の意識にかかっているのです。
ブロック塀は、プライバシーの確保や防犯・防火など、暮らしを守る重要な役割を果たしますが、地震時においては、逆に、人の命を脅かす凶器に変貌する可能性があるのです。不特定多数の人々が通行する道路、通学路、避難路などに面するブロック塀は特にその安全確保が求められます。
ブロック塀の安全確保のためには、とにかく基準を守って築造することです。また、基準に適合していない古いブロック塀は思い切って撤去処分し、現行基準を遵守し造り直す方が賢明です。プライバシーの確保や敷地の有効利用などを考えると、塀の高さは高い方がいいとか、控え壁はできればとりたくないとか、自分勝手な理由で何とかできないかと詰め寄る人がいます。何故基準が存在するのか考えてみて下さい。地震が起こった時、その基準を満たしておかないと、倒壊する可能性があるからです。地震はいつやってくるかわかりませんが、街を構成する個々人が、基準やルール・モラルを守って生活することにより、日常的に快適に暮らすことができるでしょうし、地震や火災が発生した際も、被害を最小限に抑えることができるはずです。そのために、基準は存在するのですよ。
流通している中古住宅を見てみましょう。建物の耐震性については、新旧基準のどちらで建てられたものか、また旧耐震物件においては、耐震診断の有無についても重要事項説明書に明記することになっています。が、敷地内に存在する車庫や倉庫、ブロック塀はあくまでも附属物であり、その状態について詳しい調査も説明も義務付けられてはいません。しかし、境界内のことはすべて、所有者である個人が維持管理責任を負うことになるのです。
自分の家族はもちろん、お隣さんや道行く人に災いが降りかかるようなことはないか、想像力をフル動員して、買う前に点検・検証することが重要なんですね。