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【福岡発】暑すぎる夏にこそ!省エネと断熱について考えてみる。

自然災害は、忘れたころにやってくる非日常的な出来事だったはず。なのに、この暑さは一体何?梅雨が明けた途端、自然災害に匹敵するほどの警戒レベルの暑さです。

 

今までは、夏場の電力不足を避けるために「省エネ」と称してエアコンの使用を控えることが推奨されていましたが、今年は様子が違います。昼間でも夜間でもエアコンはつけっぱなしが常識とか。屋外活動は控えた方が無難だとメディアで呼びかけています。

 

エアコンは電気代が結構かかる大型家電です。費用に対する効果が気になります。ウンウン頑張って部屋を冷やそうとしてくれますが、屋根や外壁、窓から入ってくる熱の方が勝り、なかなか部屋が冷えない…建物の断熱仕様が不十分な場合はそのようなことが起こります。

 

夏の暑さや冬の寒さに耐え、快適な住空間を確保するために断熱工事は欠かせません。では、どのような基準で断熱を考える必要があるのでしょうか。スタートは、昭和55年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」による基準で、当時は「省エネ基準」と呼ばれていました。この基準は、時代の流れと共に平成4年に強化され、「新省エネ基準」として定着していきました。その後、地球規模の温暖化問題や、平成9年の京都議定書の採択などを受け、平成11年に制定された「次世代省エネ法」によって更なる断熱基準の強化と日射遮蔽性に関する新基準が創設され、「次世代省エネ基準」として現在に至っています。

 

省エネ基準の移り変わりを見てみると、当初は冬場の断熱だけが重視されたものであり、夏場の日射遮蔽による省エネ基準を制定したのは、スタートからかれこれ20年も経った後。夏の日差しは一時的なものであり、エアコンの省エネ化は歓迎するものの、住宅性能に言及するほどのことはないという考え方だったのでしょうか。

 

「次世代省エネ基準」はその後、平成25年に「改正省エネ基準」として省エネ性能の評価の仕方が変更されました。外皮(屋根・外壁・窓など)の熱性能基準だけでなく、設備性能に左右される一次エネルギー消費量の基準が設けられ、「その住宅が存在することで消費するエネルギーを、基準以下にすること」が求められるようになったのです。

 

このように、省エネの観点と快適な住生活確保のために、温熱環境の基準は段階的に強化されてきました。しかしこれらの基準は、300㎡未満の小規模な建物に於いてはあくまでも建築主の努力義務に過ぎません。建築基準法で定められたものではありませんから、この基準を満たさなくても建築することは可能なのです。ただ、省エネ施策のロードマップを見ると、平成29年に施行された「建築物省エネ法」により、今から2年後の2020年には、新築住宅における現行基準の義務化を目指しているようです。

 

度重なる変遷を経て辿りついた省エネの現行基準は、「平成28年省エネ基準」と呼ばれます。まだ義務化されていないということは、省エネ性能があまり高くない住宅も供給されているということです。巷に溢れている建売住宅が正にそれかも!?省エネ基準が義務化された時には「一昔前の建物」ということになりそうです。

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