マイホームを売り買いするのは当事者である「売主」と「買主」ですが、その取引の仲介をするために宅建業者がかかわるのが一般的です。
仲介をプロに任せる理由の一つは、売買の意思確認と代金の支払い及び物の引渡しを同時に行うことが困難なケースが多いからです。現金一括払いで購入する人は少なく、ほとんどの買主が住宅ローンを利用します。買う意思を売買契約書で表明しても、代金の支払いと物の引渡しは1~2カ月後になるのです。その間に、売主、買主双方がやるべきことを履行し、無事、決済・引渡しの日が迎えられるように、スケジュール管理をする必要があるわけです。
もう一つの大きな理由は、対象となる不動産の詳細について、売主から聞き取った内容を、過不足なく丁寧に買主に説明するためです。説明する内容の根拠は検査による必要はありません。対象不動産の検査義務はお互いにないからです。ただ、情報収集義務はお互いに負っています。つまり、売主には「説明義務」が、買主には「実地検分義務」が求められるのです。買主が既に知っていること、あるいは、少し注意を払えば容易に知り得たことについては、売主の説明義務はないとされる場合もあるのです。
いくら当事者同士の売り買いだからと言っても、土地・建物に関する知識がない者同士が対等に正確に売買をすることは非常に困難を極めます。なので、土地・建物のプロである宅建業者が間に入り、対象不動産の詳細について調査・報告を行うのです。とはいっても、すべてのことを説明するのは不可能ですし、専門外のこともあります。宅建業法で明文化された宅建業者のやるべきことは、実は、すごく狭い範囲のことに限られているのです。
まず、現地調査は「目視」と「簡易計測」がベースになります。劣化事象の確認は、通常歩行で移動できる位置から見える範囲に限定され、敷地や建物の計測もまた、通常歩行で移動できる位置において計測できる範囲で計測すれば良いことになっています。それ以上に詳細な、劣化事象の調査や敷地における境界標の確認を求める場合は、建築士や土地家屋調査士による専門調査を受けることになるのです。費用負担をどちらが負うべきか…については、売主買主双方の話し合いによるでしょう。
目視と簡易計測により、対象不動産の現状を調べて伝えることは宅建業者の義務ですが、調べてもわからないことは、それ以上調査して報告する義務はないのです。買主の求めに応じて専門調査を行う会社を紹介したり、調査の段取りを手伝うことはあっても、自ら調査することはありません。
そう考えると、劣化事象を見てその原因が推察できる建築士が、買主側の仲介業者として一緒に現地に赴くということは、買主の義務でもある「実地検分」を、より確実に行う上で意味のあることだと思うのです。購入後のリフォーム計画のため更なる建物調査が必要な場合でも、ワンストップで対応可能な私たちのような会社なら、一貫したスムーズな動きが可能となるのです。