「あの~、耐震診断の件で伺いたいのですが…」 ちょっと遠慮がちに相談の電話がありました。
耐震診断・補強工事に関するお問い合わせの電話は、今現在住んでいる方からのものがほとんどなのですが、たまに、購入予定の中古住宅に関する相談が舞い込むことがあります。ワンストップサービスが売りの私たちですが、各種業務を単発で受けることももちろんできますから「はいはい、どうされましたか??」と、まずは詳しい話を聴くことにしました。
相談の対象物件は昭和56年以前に建築された木造住宅。住宅ローン減税のことを知り自分で調べてみたところ、どうも耐震基準適合証明書を取得する必要があるらしい、ということまではわかったものの、購入後のリフォームを相談している宅建業者の関連リフォーム会社は耐震のことは全く分からないとのこと。その他の工事は請負うけど耐震に関する工事は自分であたってと放置され困っているということなのです。
不動産購入のスケジュール的には、売買契約が済んで住宅ローンの本審査中であり、決済引渡しは2か月後の予定とか。ならば「その物件に関する図面や重要事項説明書を持って、こちらの事務所に来られませんか?」とお誘いしました。耐震診断の仕方や補強の方法、補助金や減税制度のことなど、対面で説明すべきことが山ほどあります。費用もかかることですし、納得の上で、耐震診断を受けるかどうか決めていただきたいわけです。(因みに、弊社事務所における対面相談は無料でお受けしています。)
通常、耐震診断は8万(+消費税)で引き受けます。現地に赴き、建物の内外部について目視で調査を実施し、床下・天井裏への進入調査も併せて行います。その後、収集データを事務所に持ち帰り解析を行います。もし耐震性が不足しているという結果が出た場合は、補強案とその見積書まで作成します。報告書という形にまとめ、後日、改めて対面で結果説明を差し上げます。これで診断業務は完了です。
状態によっては、点数的にかなり低い結果が出ることもあります。工事費の平均は200万前後ぐらいと言われていますが、現状の点数が悪いと、補強工事にかかる費用も大きくなる傾向にあります。マイホーム購入の資金計画が大幅に狂う可能性もありますので、減税効果と工事費を天秤にかけたい気持ちはわかります。が、耐震性能が不足している家に住むということは、大事な家族を危険に晒し続けるということです。せっかく購入したマイホームが凶器に変わることのないように、耐震補強工事は家長の責任において絶対にすべきことなのです。減税制度があるということは、言い換えれば、国主導で耐震補強工事の普及を促進しているということです。
せっかく住宅ローン減税の制度に気付いたのなら、その恩恵で耐震補強工事ができるんだ!と解釈し、是非、補強工事を実施してください。各市町村においても、補助金制度を整え、居住者の決断の後押しをしてるんですから。