マイホーム購入を検討している40歳前後の親世代といえば、60代~70代くらいでしょうか。子育てに追われていたのは昭和50年代から平成前半に差し掛かる頃です。
一般的なサラリーマンであれば、終身雇用に年功序列は当たり前。寿退社で専業主婦になったとしても夫の給料で十分な生活ができ、みな同じ様にマイホームを購入し、なんとか子供を大学まで行かせる資力がありました。教育費のピークを越えてから老後資金の準備に入っても、ある程度の年金が支給されるので間に合いそうです。が、それも今となっては幻想だったのかもしれません。長い間目を反らしてきた現実が、あちこちでひずみを起こし始め、社会問題として噴出しています。
そもそも、年金制度の前提が今の世の中と合致していません。国民年金制度のベースは、小さな飲食店や小売店などを家族で営むという想定です。商売をするのに定年はありません。子どもは当然に家業を手伝い、いずれは代替わりをして店を引き継いでいきます。親世代は隠居し、支給される年金は日常を潤すお小遣いという感覚です。生活は同居する子世帯が担い、時々店を手伝いながら忙しい親に代わって孫の世話をする というような家族像なのです。昭和30年代くらいまではそれが主流だったのかもしれませんね。
そんな、ドラマに出てくるような2世帯同居家族は激減しました。大学進学と共に親元を離れた子どもたちは、新しい家族を遠方で形成し、当然に親世帯とは別居状態です。働き方も様変わりしました。転職は普通のこととなり、更には、会社に所属することなくフリーランスという働き方を選ぶ人も増えています。収入は不安定になりがちなのに、教育費は年々上昇、将来の年金額も減る一方です。そんな中、住宅ローンを組んでマイホームを購入するということは大変なことであり、それなりの覚悟が必要です。借入金の返済をするだけではなく、将来必要となる資金を計画的に貯めていくことも同時に行わなければなりません。
マイホーム購入は最高にわくわくしますが、家族や社会に対する責任の重さについても今一度熟考する必要がありそうです。