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【福岡発】変動型住宅ローンの利用比率が過去最高になったらしい

住宅ローンを組む時に、変動型にするか固定型にするか悩む人は多いと思います。金利が今後どのような推移を辿るのか誰にも分らない中、35年間の金利変動についていくら考えても答は闇の中です。せめて、今までの統計的な割合としてはどうなっているのか、知りたいですよね。

 

住宅金融支援機構の調査によると、2017年度に借入をした人の実に56.5%が変動型を選択したという結果が出ています。前年同期比で9ポイント増え過去最高となりました。10年前の2008年度において、変動型を選択した人の割合は20~30%程度でした。その後金利が下降したのに合わせて徐々に増加し、2011年度には50%を突破しました。しかし、2013年以降は物価上昇に伴う将来の利上げを懸念する傾向が強まり変動型を選択する人は減少しました。ところが、2016年に日銀がマイナス金利政策を導入し、これを境に再び変動型金利で借りる人が増え始めたのです。日銀の思惑通りに物価上昇が進まないことから、将来の利上げはないとの予測が広まり、変動型の増加を後押ししました。

 

なるほど、長い間、底値だと言われてきた変動金利ですが、確かに上昇の兆しが見えないまま現在に至っています。金利上昇を危惧して固定金利型を選択した人も、選択を誤ったかと苦々しく思っているかもしれませんね。変動型を選択した人の約70%が、今後も金利上昇は無いと予測しており、固定型で堅実に返済していくという考え方よりも、払う必要のない利息はできるだけ払いたくないという、今だけに焦点を合わせた考え方で決定する人も多いようです。

 

そもそも変動型と固定型の違いは何か。一番大きな違いは、毎月の返済額が変動するか一定かということです。固定型の場合は返済期間中ずーっと一定ですから家計のやりくりがしやすく、他の支出項目に影響を及ぼすことも、影響を受けることもありません。金銭的に大きな変化がなければずーっと同じペースで支払っていけばよいのです。しかし、変動型はそうはいきません。半年ごとにみなおされる金利によって、返済月額の元本と利息の割合は常に変動しています。返済月額は5年間据え置くルールになっているので毎月ハラハラする必要はありませんが、金利上昇に伴い5年後に毎月の返済額が増加した場合は大丈夫でしょうか?毎月計画していた住居費の予算では足りないので、他の費目を削って穴埋めする必要が出てきます。返済能力ギリギリのところで変動型を選択して住宅ローンを組むと、返済が難しくなるケースもあるのではないでしょうか?

 

変動型を選択するということは、借りる側がリスクを負うということです。金利上昇はしないだろうという希望的観測だけで変動型を選択するのは拙速に過ぎると思います。多少の金利上昇にも揺らぐことのない余裕の家計でなければ、変動型を選ぶのは危険かもしれません。