とある昼下がり、気ままに物件検索をしていたら気になる物件を見つけた!ところが物件概要をよくよく読み返してみると、その土地には、将来道路になる可能性のある「都市計画道路予定地」が含まれていた・・・。
これは不動産の仲介をしているとよくある話です。既存の道路を拡幅したり、新たに道路を造ったりする「都市計画道路」は、都市のあちこちに存在しています。これらの多くは日本の戦後昭和30年代から高度経済成長時代にかけて計画が定められたものの、現在まで長期間にわたり実現していない路線も少なくありません。しかし、計画があることによって住宅の建築などに制限を受けることになり、土地の評価にも影響を及ぼしますから、その計画内容には十分な注意が必要です。例え敷地内に都市計画道路予定地が含まれていなかったとしても、新しく道路ができることによって周辺環境が変化することもありますから、土地や住宅を購入するときには、近隣エリアにおける「都市計画道路」の有無にも気を付けながら検討したいものです。
都市計画道路には既存の道路を拡幅する場合と、これまで道路がなかったところに新たに道路を築造する場合があります。そして、細かな段取りを抜きに考えれば、「計画決定段階」と「事業決定段階」の2つに大別することができます。「計画決定」の段階から「事業決定」の段階に格上げされるイメージです。通常は事業決定の段階になるまでたいへん長い年月を必要とするため、計画決定段階であれば、下記のような建物の建築が認められています。
- 階数が2階まで(3階建て以上は建てられません)
- 地階を有しないこと(地下車庫もできません)
- 木造か鉄骨造など(鉄筋コンクリート造などはできません)
ここで重視されるのは「容易に移転し、または除却することができるものであること」であり、事業が実施されるときに補償費などを増大させないことが制限の目的の一つとなっています。建物の新築や増築が許可されるのは、あくまでも「計画決定」のときに限られます。計画決定段階では事業に着手する時期などがまだ具体的に決まっていないものですが、事業の着手が決まった事業決定の段階では、土地収用や立ち退き交渉、実際の道路の築造工事に取り掛かるため、災害時の応急措置的な建築などを除き、新たに建物を建築することはできません。
以上のような理由から、計画決定段階では通常の木造2階建て住宅は建築可能であり、現実に都市計画道路予定地上に建てられた建売住宅も販売されています。計画道路による土地利用の制限があるために、価格も抑えめなのが一般的です。
事業決定まで長い年月がかかるとしても、いつそうなるかわからない不安定な状態で暮らすのを良しとするか、考え方は人それぞれでしょうがよくよく考える必要がありそうです。