土地の価格はどうやって決まるのか?
売っているモノには値段がついています。いくら出せば買えるのか、買いたい人にわかるように値段をつけます。土地も売ったり買ったりするものですから当然値段はついていますが、どのように考えてつけるものなのでしょうか。実は、一つの土地に対して算定された公的な価格が、目的に応じて複数存在しているのです。これを「一物四価」といいます。その四つとは、公示価格、固定資産税評価額、相続税路線価、そして実勢価格です。
一物四価…一つの土地に四つの指標が存在します
「公示価格」とは、不動産を売買する際に目安にする価格です。地価公示法に基づき、国土交通省主導で調査が行われ、毎年1月1日時点の価格を3月に公表します。マスコミで毎年話題になるあれですね。ただ、公示価格はすべての土地に対して調査がなされているわけではなく、代表的なポイントに絞られた調査結果に過ぎないので、直接的に利用することは難しい場合があります。
「固定資産税評価額」とは、固定資産税を算出する際に使用するその土地独自の評価額です。この評価額に税率をかけ、不動産の固定資産税を割り出します。一般的には、公示価格の約70%程度を目安に決定され、原則3年ごとに見直しが行なわれます。固定資産税評価額は、その土地が持つ特徴について調整された後の価格なので、これをベースにその土地の公示価格に見合った金額を割り出し売買の目安にすることもあります。
「路線価」とは、相続税や贈与税を算出する際に使用する価格で公示地価の80%程度を目安に決定されます。国税庁によって、毎年、1月1日時点の価格が7月1日に公表されることになっています。本来、土地の価値は「時価」によることが原則ですが、すべての土地について時価を計算するということは、現実的には無理な話です。そこで、税務署は道路に値段をつけました。この値段を「路線価」といいます。この「路線価」に、その道路に接している土地の面積を掛けて、相続時の土地の評価としているのです。
最後に「実勢価格」についてですが、これは実際に売買が成立した価格のことです。不動産に限らず、日常生活において実勢価格に接することはよくあります。同じものを買うにしても、場所が違えば価格が異なることもあります。通常は「同じものに異なる価格」が付いているため、どこで買うかという判断は価格を基準にすることが可能です。高い安いで判断できるのは、商品の定価や相場を知っているからです。それに対し、土地は唯一無二であるがために、二つの価格を比較して判断することが難しく、実勢価格は単に異なる土地の売買成立価格を寄せ集めた結果に過ぎないとも言えます。
高いか安いかを考えるのはナンセンスかも?
実際のところ、実勢価格に応じた価格で取引がされるかといえばそうではなく、当事者の事情や自由な交渉で微妙に変動する、結局のところ、需要と供給の世界なのです。
こと不動産に関しては、高いとか安いとか、いくら言ってもしょうがないわけですね。買うか買わないか、買えるか買えないか、ただそれだけなのです。