中古住宅購入にインスペクションは不可欠
中古住宅を購入する場合、建物の状態を知ることは非常に重要なことです。既に使用中の状態にあり、見た目も古くて汚い、それを買うべきかどうか検討するためにはプロのインスペクションは不可欠でしょう。
インスペクションは、状態のよくないものを買ってしまわないようにブレーキをかける役目と、買った後のリフォームで自分の希望が叶うことを確認し、買いたい気持ちを後押しするアクセルの役目があります。
どちらの意味合いが強いかで、インスペクションを行うタイミングやスピードも違ってきます。また、インスペクションありきだとそれが足かせになってしまうこともあります。つまり、「心配だから何としてでも売買契約前にインスペクションを実施できるようにしなきゃ!」と拘りすぎると、「絶対にその物件を買い逃したくない!」と思っている場合には、逆に買い逃してしまう原因にもなり得るということです。
買い逃さないためにも柔軟に考える
取引は、双方の合意があって初めて成り立つものですから、売主さんの気持ちも考えなければなりません。そして、購入検討者はあなただけではないかもしれないのです。
内覧をして、気に入った物件が見つかったときには、「買付(申込み)」を売主さんに提出します。買付というのは、簡単に言えば「この条件なら買っても良い」という、買主さんの希望条件を書いた書面です。値引きの希望や引渡の時期など、受け入れてほしい契約条件を記載し、ここから商談がスタートします。
「買付(申込み)」は、意思を表明する手段としてそのステップを踏むべきものですが、拘束力はありません。誰に売るかは売主さんの胸三寸。売主さんにしてみれば、できるだけ高く買ってくれる人に早く売ってしまいたいのですから、大幅な値引きを要求する人や、売買契約及び引渡し時期が通常よりも遅めに設定されるケースは敬遠されがちです。別の購入検討者が現れて、契約の条件が売主さんにとって好ましい物であれば、そちらに売ることを決断してしまうかもしれないのです。なので、その物件が本当に欲しいのであれば、買付を出した後、1~2週間の内には正式な売買契約を取り交わすべきなのです。
インスペクションの前段階でも建物の状況はわかる
ここでインスペクションの問題です。「欲しいけど建物の状態がわからないのに買えない。もたもたしてると別の人に取られてしまいそう。」二つの気持ちがせめぎ合います。売買契約前のこの慌ただしい時期に、インスペクションを申し込んで結果報告を受けるというのはかなり難しいことです。また、買付には拘束力がありませんので、もたもたしているうちに他者が先に契約してしまうことも無くはないのです。インスペクションなどという面倒なものをしなくても買ってくれる人が現れれば、売主さんとしてはそれでいいのですから。
インスペクションが社会的に認知されるようになって、殆どの買い手が実施を希望する状況になれば、それ自体が足かせになることはないのでしょうが、現時点ではまだそこまで浸透しているとは言い難い状況です。
では、どうすべきか??
内覧の時点で、ある程度のことがわかれば安心だと思いませんか?私たちは建築士でもあります。木造住宅の診断も業務としている一級建築士事務所です。一緒に内覧同行するだけで、経験上感じ取れることがたくさんあるのです。売買契約後にゆっくりインスペクション(耐震診断を含む)を行い、リフォーム計画を立てることが可能になります。