通販番組でリフォーム!?
休日の昼下がり、ぼさ~っとテレビを見ていたところ、家電量販店の通販番組が目に飛び込んできました。エアコンやパソコン、テレビなど、家電を販売する番組は見たことがありましたが、今回目にした商品は「トイレリフォーム」! 家電じゃなくてリフォーム工事を売ってるんです!
便器は限定品ですが、大手メーカーの商品で必要な機能もとりあえずは付いているようです。タンクレスでコンパクト、でも手洗いがついており、古くなった便器をとにかく交換したい人には問題なさそうです。内装も込みこみで、私たちが考える通常価格より安めに設定してあります。が、ここからが通販の手法です。
「今なら更に値引き!タオル掛けやペーパーホルダーもプレゼント!」と三段落ちの勢いで価格が下がっていきます。結局、私たちの想定価格よりも10万円くらい安い価格でトイレがきれいになりそうです。「メーカー希望小売価格よりも格安な便器に、この値段を支払うだけでできるなら、買いだ!」ということで、一般消費者は慌てて電話をするんでしょうか?? そもそもリフォームってそういうものじゃないですよね!?
本当のリフォームはそうじゃない!
私たちからしてみると、現場の条件はそれぞれなのに、一様に、「○○万円で請けます!」なんて絶対言えないです。もっと言えば、お客様の困りごとや求めているものは十人十色なのに、「便器交換と言えばこれですよ!」などとも言えません。便器を作っているメーカーは色々ありますし、それぞれに特色があります。お客様の困りごとを聞いて、よりよい選択ができるようサポートするのも私たちの役目なのです。選択肢を示すことなく自己都合で商品を限定するということは、その商品を売ることが目的であり、それを買う人だけがお客様になり得ると言っているようなもの。正に通販で家電を売る手法と同じです。
更に気になったことは、工事のやり方です。古い便器は撤去してくれますが、床は既存のままで、その上にクッションフロアを張るだけです。壁のクロスは張り替えてくれますが、天井は既存のまま。なぜか?これ以上手間がかかると利益が残らなくなるからです。床を解体し、排水管から交換するには大工が必要です。照明器具の脱着には電気工も必要になります。つまり、水道工と内装工だけで完結できる工事しか利益が出ない価格設定なのです。
もしかしたら、買わされているのかも!?
そこまで認識した上で、「安いからこれでいいんだ!」というなら問題ありませんが、自分主体で買っているつもりが、その実、買わされているのかもしれない…ということを想像してみることも大切だと思います。
リフォーム工事は家電とは違います。出来上がったものを買う訳ではないのです。約束通り工事を丁寧にしてくれるかどうかもわからない人に、安いからといって頼んでも大丈夫なんでしょうか??