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【福岡発】瑕疵と劣化は違う ー 結構限定的な売主の瑕疵担保責任

売主の瑕疵担保責任

マイホーム購入は、普段のお買い物からするとかなり高額な買い物です。しかも、高額な電化製品を新品で購入した時のように、全ての商品に保証が付いてくるわけでもありません。購入後、土地や建物の不具合を発見したとしても、何でもかんでも売主さんに保証してもらえると思ったら大間違いです。

 

中古住宅の売買をするときには、契約条項の中に「売主の瑕疵担保責任」というものがあり、一般的には、売買した不動産において引渡し後3カ月以内に瑕疵が発見された場合には、売主の責任において修復等をしなければなりません。期間については、売主買主双方の協議で決めることができますが、3カ月と定めるのが一般的です。が、必ず定める必要があるわけではなく、極端な話、この瑕疵担保責任を免責にすることも可能なのです。売主側の不動産屋がよく口にする「現状有姿(げんじょうゆうし)」という言葉が意味するところですね。「良いも悪いも、現状有るがままの姿で見て買ったわけでしょ、それ以後の責任は一切とりませんよ。」という乱暴な言い分。でも、違法ではないのです。

 

瑕疵なのか、劣化なのか

では、建物の瑕疵と認められる事象は具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。それは、「雨漏り」「シロアリの被害」「構造上主要な部位の木部の腐食」「給排水管」に関するものです。結構限定的なんだなと思われたかもしれません。瑕疵という言葉はわかりやすく言うと不具合、問題、欠陥というような言葉に言い換えられますので、上記4点以外にも様々なものが考えられますが、その原因は経年劣化によるものも少なくありません。つまり、そのような不具合は特別なものではなく、時間がたてば起こり得る現象と捉えられているわけです。ただ、中古住宅すべてに「雨漏り」「シロアリの被害」「構造上主要な部位の木部の腐食」「給排水管」に関する不具合が発生するわけではありませんので、これらについては瑕疵と認められるケースが多いという訳です。

 

また、土地の問題については判断が難しい場合もありますが、基本的には、その瑕疵のせいで買主がその不動産を取得した目的が達せられない場合には、瑕疵(問題)の解決を迫られるケースがあります。例えば、買主が購入した土地で新築工事に取り掛かったところ、地中埋設物(大きな石など)があるために基礎工事ができない場合などは、売主の費用負担で地中埋設物の撤去を行う必要が出てきます。

 

軽微な不具合は自力で何とかする覚悟も大事

中古住宅購入の場合は、特に建物の瑕疵が気になるところでしょうが、発見された不具合がすべて瑕疵に値するわけではないということを認識しておくべきでしょう。そもそもが使用途中にあるわけで、タイミング悪く、引っ越し直後に設備機器が壊れるなんてことだってありますよ。その辺は、そういうものだと分かった上で購入すべきでしょう。軽微なものは自分で何とかしなければいけません。前向きな不具合改善のためにも、購入前のインスペクションが必要なんですね。

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