勘違い続出!インスペクションは任意です。
今年4月の宅建業法の改正で、インスペクションが義務化されたと勘違いしている人がいます。一般消費者もしかり、不動産業者もしかり。改正宅建業法で義務化されたのは、建物状況調査に関する情報提供についてのみです。インスペクション(建物状況調査)を実施していないからといって、そのことを理由に売主さんを責めることはできません。
中古住宅を購入する場合、特に心配なのは建物の状態ではないでしょうか?中古なのですから、劣化や不具合があるのは致し方ないとしても、入居して間もないのに、不具合が表面化してくると、きっと、モヤモヤすると思うんですよ。
入居間もない不具合の補修を求めることはできるのか?
例えば、引き渡し1年後に雨漏りが発生したとします。この取引では建物状況調査が実施されておらず、既存住宅売買瑕疵保険にも加入していなかったと仮定します。売主さんの瑕疵担保責任期間としては3か月の契約でした。この場合、買主さんは売主さんに雨漏れの補修を求めることができるでしょうか??
答えは「NO!」です。まず、売買契約上の売主さんの瑕疵担保責任の期間が過ぎているので、売買契約を盾に売主さんに補修を求めることはできません。続いて、雨漏りが発生しうる状況であったことの情報提供がなされていないことについてはどうでしょうか。残念ながら、こちらについても「NO!」です。雨漏りが発生しうる状況であることの判断を、一般消費者である売主さんに求めることは難しいです。では、任意とはいえ、インスペクション(建物状況調査)が実施されていないことについて、売主さんの非を責めることができるでしょうか。これも「NO!」です。冒頭でもお話ししたように、売却に当たってインスペクション(建物状況調査)が義務化されていない以上、売主さんを責めることはできないのです。
建物状況調査が実施されているかどうかは、契約時に明らかです。(重要事項説明書に記載することは義務化されていますので)したがって、建物状況調査が実施されていないことを承知の上で、買主さんの意思で購入したということになってしまうのです。
モヤモヤしたくないなら、人はどうあれ、自衛策を練ることも大事
引き渡しからあまり時間がたっていないのに大きな劣化が見つかると、「知っていたら買わなかったのに!」と言いたくなるのですが、ここで言う「知っていたら」については、売主さんだけではなく買主さんにも責任の一端があることに注意しなければなりません。
せっかくマイホームを手に入れたのに、入居して間もなく雨漏り発生だなんて、どんよりしちゃいますよね。そうならないためにも、インスペクション(建物状況調査)を購入前に実施し、見つかった不具合は積極的に自ら補修計画を練り、快適な生活を確保するという考え方にシフトした方がいいと思います。売主の責任だ!と息巻いてみたところで、結局、現況有姿という名目のもと、買主さんの自己責任が求められるケースがほとんどなのですから。