インスペクションは今現在の状況調査に過ぎない
インスペクションを実施したからと言って、家の状態が将来に渡って保証されるものではありません。改正宅建業法で定義されたインスペクションは「建物状況調査」と言います。これは、建物の現在の状況を調査するというもので、対象は今現在のみ、しかも状況を報告するだけであり、その後どうなるかは調査の対象外、考察の必要もありません。(報告書の雛形にも「将来に渡って保証するものではない」と明記されています。)
不具合が発生してもインスペクションは否定されない
例えば、建築士によるインスペクション実施済み物件を購入したとして、引き渡しから6か月後に雨漏れが発生したとします(個人間売買とします)。買主の立場では、住宅を購入してたった半年で雨漏れが発生したわけですから、売主や調査を行った建築士に文句も言いたくなります。ただ、この場合の雨漏れは売主にも調査を行った建築士にも責任を求めることができません。一般的な個人間での不動産売買契約では、瑕疵の期間を3か月程度とすることが多いですし、調査時点で雨漏れがなかったのであれば、調査を行った建築士が判断できるものでもありません。
耐用年数を超えた部位は経年劣化を放置した状態
建物の各部位には目安となる耐用年数がありますが、長いものでも10年~15年で何らかの修繕が必要とされるので、築10年以上の戸建て住宅をリフォームなしで購入するということは、いつ問題が起きてもおかしくないことを容認するのと同じ意味になります。雨漏れの原因が単純な劣化によるものと判定された場合は、たとえ瑕疵保険に加入していても、保険の免責事項に抵触するので、保険がおりないケースも考えられるのです。
新築住宅の場合は、瑕疵保険による10年間の保証があります。新築でもたったの10年間ですから、中古住宅の保証を第三者に求めるのはかなり無理があると思います。そう考えると、過剰に保険・保証に依存するよりは、インスペクションで明らかになった劣化状況を積極的に改善することに目を向けた方がよっぽどいいと思います。引っ越ししてすぐに不具合発生なんて、気分的にもどんよりしますもんね。思い切ってリフォーム費用を捻出し、安心して長く暮らせる状態に近づける努力が必要です。
マイホームを長持ちさせるためにすべきこと
マイホームは一生物かもしれませんが、一生もつものではないのです。新築時からの経過年数と現時点での状況、一般的に言われる耐用年数を考慮して、今後のメンテナンス計画を立てるのが安心して暮らすためのポイントです。家が長持ちするかどうかは、水の浸入をいかに防ぐかがテーマとなります。定期的に屋根・外壁をメンテナンスし、設備配管の状態をチェックすることで戸建て住宅は長持ちするのです。また、床下の湿気をコントロールすることで白蟻の被害を未然に防ぐことも重要です。
家族を育むように、マイホームにも愛着をもって接していきましょう! 快適で安全な家は、家族みんなの憩いの場となるはずです。