これからの住宅に必要なこと
住宅の「省エネルギー性能」の最低基準がやっと義務化されるのかと思いきや!ここにきて先送りされることになったようです。住宅の価値を左右する要素は「耐震」「省エネ」「長持ち」-これからの人口減少や家余り問題を視野に入れ、国は、高性能な住宅を長持ちさせて循環させることを目指しています。良質な中古住宅を購入することでマイホームを入手し、その後の生活にもゆとりをもたらすことを目標にしているのです。無理して新築住宅を建てることに固執すれば、住宅ローンに一生縛られることにもなりかねません。
耐震の最低基準は義務、では省エネに関しては?
当然のことながら、耐震の最低基準は建築基準法で定められています。その基準を満たす設計をしない限り建築の許可が下りません。2000年に改正された現行基準は、震度6強でも倒壊しないレベルの耐震性が確保できるとされています。住宅ローン減税適用要件の一つに耐震基準適合があることからも、耐震性能が確保された中古住宅だけを存続させたいという意図を感じます。
では省エネ性能は!? 40年ほど前の家は無断熱が当たり前でしたが、商品化された断熱材を床下や壁内、天井裏に敷き詰めるところから徐々に断熱することが定着してきました。設計仕様も現場の納め方もまちまちで見様見真似。一定の基準があるわけでもないし計算による検証方法もありません。建築業界内で断熱に詳しい事業者とそうではない事業者が混在することになりました。
材料メーカーによって断熱材の類はどんどん研究開発され、現在では高性能なものも市場にはたくさんあります。ハウスメーカーを中心に、断熱や気密に優れた家を造る技術も既にあります。2020年に省エネ基準が義務化されることが決まって以降、国交省は義務化へのロードマップを示し、その普及・徹底の準備を進めてきました。設計や施工に関する講習会を、建築士だけではなく、現場監督や大工をはじめとする施工者にも呼びかけ受講を促していたのです。正直、考え方や計算は難しく、施工に関しても、そこまでしないと数値目標をクリアできないの??と思うほど、現場とはかけ離れたものでした。
同じように見えても全然違うかも!?
省エネ基準の義務化が先送りされた理由の一つは、設計や工事に携わる人たち全てが省エネに関する知識を十分身に着けたとは言えず、義務化して運用するのは困難と判断されたからだそうです。結局、省エネに関して詳しい事業者とそうではない事業者が混在する状況は変わらないまま。つまり、省エネに寄与しない断熱性能の低い家は供給され続けるという事です。
新築住宅を買い求める(建てる)場合は注意が必要です。同じように出来上がった新築住宅でも、基準をクリアする数値的な裏付けがあるものもあれば、断熱に関する材料を何となく使用しただけの家もあるということですから。