自然災害が多発した平成の30年間
「平成」も残すところ3ケ月を切りました。この30年を振り返ってみると、過去に類を見ないほど自然災害に見舞われた時代だったと感じられるのではないでしょうか。
平成2年の雲仙普賢岳の噴火、平成7年の阪神・淡路大震災、平成23年の東日本大震災、記憶に新しい所では昨年の西日本豪雨など、日本全国、安全なところなど存在しないと言わんばかりにあちこちで頻発しています。
九州・福岡に目をやれば、平成17年の福岡県西方沖地震がありました。ほとんどの福岡県民が、初めて感じる大きな揺れを体験したのです。そして平成28年の熊本地震では、想定外の2度の激震に建築業界も驚きを隠せない状態でした。台風被害や水害は、今までもたびたび起こってはいましたが、平成29年の九州北部豪雨は想像を絶するものでした。
防災の考え方も変化している
自然災害がひとたび起こると、人的にも物的にも被害は広範囲に及びます。そして、復旧・復興には時間とお金がかかります。災害が起こるたびに防災の考え方も変わってきたようです。
阪神・淡路大震災後に「被災者生活再建支援法」が制定され、個人に対する税金投入の道が開かれました。東日本大震災以降は民間企業の復旧に1件最大10億円が「支給」されるようになりました。災害のコストを国民みんなで負担するという新たな理念です。あまり意識していないかもしれませんが、復興に充てる財源確保を目的として、所得税は2013年(平成25年)1月1日からの25年間、税額に2.1%を上乗せするという形で復興特別税が徴収され続けているのです。
火災保険に付随してかける地震保険の加入も、大地震が起きるたびに進んでいるようです。福岡県における世帯加入率を見ても、全国平均の30.5%を上回る34.2%となっており、関心の高さを物語っているようです。公助だけではなく自助の精神で、災害に遭遇した後の生活を立て直す原資を用意しておく必要があるのです。
更に、税金を復興に費やすだけではなく、災害時の被害をできるだけ小さく抑えるため、予防にも積極的に投入する動きが盛んになってきました。耐震診断や補強工事に関する補助金制度や税制優遇は正にその類です。
これからのあるべき姿とは
人間の手で自然災害の発生を防ぐことはできません。「まさか自分の住んでいる地域では起きないだろう。」と安易に考えるのは無責任としか言いようがありません。私たちには、自分が住んでいる地域の危険を知る義務と責任があるのです。ハザードマップを確認し、危険な地域に住まないという選択はできますが、地震に対しては誰もが無防備な状態です。
自宅の耐震化について、今一度、真剣に考えてほしいと思います。