老後が20年も延びた??
「人生80年」と言われたのは既に過去の話。今では100年人生を想定し、人生の節目で生活をシフトチェンジしながら歳を重ねていく生き方が提唱されています。それが「ライフ・シフト」という考え方です。
本当に人生が100年だとするならば、定年の60歳は折り返し地点を過ぎて間もない頃です。一般的には、多くの人が人生の晩年の過ごし方にばかり注目しますが、そこには、余生というには長過ぎる時間が待っているのです。現役を退いた後の余生、という考え方ではなく、次のステージの始まりととらえるべきでしょう。
年金受給年齢が上がる可能性がある以上、必要に迫られて働くのは当然ですが、それ以上に、若い時から自分の人生をどうデザインしていくか、考えながら生活することが求められているのです。
金融資産と無形資産
長寿命化する人生では、ある時は仕事に集中し、ある時は自分への投資に専念するなど、人生のステージを自ら変えていく覚悟が必要です。各々が、節目に応じて人生を再設計しなければならないのです。
そう考えると、生活の糧を得るために一生懸命仕事をするだけでは、この長い人生を彩ることには限界があるようです。お金に換算できない価値、すなわち無形資産の重要性を意識せざるを得ません。人脈や知識、健康といった無形資産は、金融資産と同様にとても重要なものなのです。
終身雇用と安定を求めるあまり、日本では、他国のような起業家精神の基盤が乏しいという問題があります。積極的なライフ・シフトを実践していくためには、新しい社会基盤の構築と国民の意識改革が不可欠でしょう。
シフトチェンジとマイホーム
今までの日本人特有の考え方からすると、働き方や生活スタイルを変えるということは容易なことではないと思います。積み上げてこその年金、という意識が強すぎるからです。愉しんでこその人生、と思えば、仕事にかまけて二の次になっていたことの大切さも身に沁みます。
シフトチェンジには転居を伴うこともあるでしょう。あるいは、働き方や生活スタイルを支える基盤として、マイホームが役立つこともあるかもしれません。子どもの就学や自分の仕事の安定のためにマイホーム購入を思い立つ人は多いですが、その後、どんな人生が待っているのかは誰にもわかりません。
働く、勉強する、子育てする…。どんなシフトチェンジをしようとも、100年人生を愉しむしなやかさを身につけたいものですね。そして、あなたの選んだマイホームが、その拠点として機能し続けるといいなぁと思います。