我が国の住宅政策
日本の社会は様々な法律によって守られ1つの秩序を形成しています。それは、住まいづくりやまちづくりにも及んでおり、政策的にその時代時代に求められる姿に変化しているのです。
我が国の住宅政策としては、昭和41年から8次にわたり策定された住宅建設五箇年計画があります。5×8で一口40年、それが平成17年に終了しました。戦後の住宅難を改善すべく、量の充実を第一に推し進められた政策でしたが、平成17年を境に、量から質への新たな住宅政策への転換を図ることになります。そして、平成18年6月、住生活基本法が施行されました。
住生活基本法の目指すもの
この法律は、住生活の安定的確保及び向上の促進に関する施策について、基本理念、国等の責務、住生活基本計画の策定その他の基本となる事項について定める、というものです。
施策の根幹を為す基本理念には、下記の4項目が記されています。
①住生活の基盤となる良質な住宅の供給 ②良好な居住環境の形成 ③住居のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進 ④住居の安定の確保
なんとも抽象的で分かりにくい理念ですが、更に下記に示すような具体的な8つの目標が設定されています。
目標1、結婚出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現
目標2、高齢者が自立して暮らす事のできる住生活の実現
目標3、住宅の確保に特に配慮を要する者の住居の安定の確保
目標4、住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築
目標5、建替えリフォームによる安全で質の高い住宅への更新
目標6、急増する空き家の活用・除却の推進
目標7、強い経済に住宅関連産業の成長
目標8、住宅地の魅力の維持・向上
全ての世代の人に快適な住環境がいきわたることを目標に、また、老朽化したマンションに建て替えリフォームを促したり、空き家の除却や利活用にも言及するなど、かなり盛沢山な目標です。住宅に関する問題は社会問題になりがちです。それだけ解決が急がれる問題が山積しているということでしょう。