ちょっと不公平な住宅ローン減税
すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために、平成25年に創設された制度で、平成26年4月から令和3年12月まで実施される予定になっています。
住宅ローン減税という制度もありますが、この制度は、個人が支払っている所得税等から税額控除する仕組みであるため、収入が低い人ほどその効果が小さくなってしまいます。つまり、所得税をたくさん納めている高所得者は控除される税額も大きくなりますが、納めている税額が少ない人の控除額は、必然的に彼らよりも少なくなってしまうのです。
新築で最高400万とか中古購入で最高200万とか声高に言われているのは、あくまでも税額控除の限度額です。所詮、納めた税金を超えてまで戻ってくるわけではないのです。
すまい給付金は、相対的な低所得者に優しい制度
そこでこの新たな制度「すまい給付金」では、住宅ローン減税の効果が十分に及ばない収入層に対して、消費税率引上げによる負担の軽減をはかるために有効な制度設計がなされています。ズバリ、収入によって給付額が変わる仕組みとなっているのです。消費税率が10%になった時は給付のハードルも下がるようで、給付の対象となる人が増え、給付額も最大50万円に引き上げられるそうですよ。
さて、給付額は住宅取得者の収入及び不動産登記上の持分割合によって決まります。具体的には、単独所有の場合の給付額を給付基礎額とし、収入に応じて決まるこの給付基礎額に、持分割合を乗じて算出した額が実際の給付額となります。給付額算定の元となる収入は、いわゆる「額面収入」ではなく、都道府県民税の所得割額に基づき決定することになっています。
収入が同額だったとしても、扶養家族の有無や医療費の負担などが異なれば、住宅取得に係る負担感は異なりますから、収入だけで一概に比較することはできません。このため、すまい給付金制度では、諸事情を差し引いた後の「課税所得」により給付額を決定することになっています。市区町村によっては課税所得が記載されていない課税証明書もあることから、必ず記載されている「都道府県民税の所得割額」に応じて給付額を決定することになっているのです。
個人間売買による中古住宅購入は対象外!
すまい給付金にはもう一つ、良質な住宅ストックの形成を促す目的もあるため、給付を受けるためには、対象となる住宅が一定の要件を満たしている必要があります。この点は、新築の場合はあまり問題になることはないかと思いますが、中古住宅を購入する場合はそれ以前の問題として注意すべきことがあります。
そもそも給付の対象となる中古住宅は、売主が宅地建物取引業者である中古住宅(買取再販住宅)だけだということです。中古住宅の売買は売主が個人(一般消費者)であることが多いのですが、この場合は消費税が課税されません。このため、給付の対象外となるのです。
制度説明の最初に明記されている「消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するため」という理念を遵守する必要があるわけですね。捕らぬ狸の皮算用にならないように気をつけましょう。