増加し続ける空き家
テレビでこんな特集が組まれていました。空き家が増えていることは薄々感じていたことですが数にして示されると愕然とします。1988年の空き家総数と比較するとその数は2倍以上、
現在の空き家総数は846万戸で実に7軒に1軒が空き家だというのです。マンションも含めた数かどうかはわかりませんが、問題が露呈しやすいのは何といっても一戸建てです。そしてその問題は、家の持ち主が被ることではなく、近隣に及ぶことなのです。
空き家が引き起こす問題とその背景
まずは、放置された空き家は倒壊の恐れが非常に高いです。時の経過にまかせ、朽ち果てる寸前の物もあります。地震がこなくても倒壊の恐れがある状態です。また、その様子は風景・景観の悪化を招き、街全体の印象にまで影響を及ぼします。管理されていない土地建物にはゴミが散乱し、樹木は生い茂り、悪臭などを引き起こします。更には防犯性の低下も招くのです。
新築された時には、将来こんなことになるなんて思いもしなかったはずです。紹介されたケースでは、火災によって所有者は亡くなり、その後手つかずのまま空き家状態が続き、近隣住民も困惑しているとのことでした。困り果てた住民が行政に相談しても問題は解決されないまま現在に至っているそうです。行政代執行という制度はあるものの、行政にしてみれば、大切な税金を使って個人の資産を解体したくないというのが本音であり、またその回収も難しく二の足を踏んでいるケースが多いようです。結局、無責任な空き家の所有者(被相続人)が問題を先送りしたために、近隣住民は迷惑を被ることになってしまっているのです。
人より長生きする家
そもそも、家の寿命は長いです。一代で償却してしまうようなものではありません。なので、新築と同時にその家を如何に継承していくべきか考える必要があるのですが、ここにも問題があるようです。家族で住む家を新築した場合、親世代が亡くなった後は子ども世代に相続し、有効活用してもらうのが一般的ですが、家族のカタチが大きく変化した現代では、そのような円満な継承が難しいケースも多いそうです。つまり、縦の相続(親から子へ)ではなく、横の相続(兄弟間)が増えているのです。被相続人になった兄弟にしてみれば、自分たちの家は既にある状態で別の家を相続しても持て余してしまう、あるいは、相続時に十分な話し合いが出来ず残った兄弟で共有名義にしてしまったことで、問題解決に更なる時間がかかってしまうというケースもあるようです。
住む人がいなくなった家というのは、一体、どういう末路を辿っていくのでしょうか。家族で楽しい時間を過ごしたこともあったでしょうに、最後が空き家で放置なんて、哀しすぎますよね。