自分で決めたことなのに心配が募るのは何故?
「新築分譲マンションを購入することになったのですが、心配なのでインスペクションしてもらえますか?」事務所にこんな電話がありました。確かに新築でもインスペクションできないことはないです。でも、インスペクションは状況を調査して劣化状態を明らかにするものですから新築でやる意味はありません。一体、何が不安なんでしょうか?
話をよく聞くと、購入サポートの仲介業者を入れないまま、直接、分譲物件の売主業者に接触した様子。一週間前に内覧に行ったあと、あれよあれよと言う間に契約が決まったらしく、あまりにも早い展開に急に心配になってきたという訳です。
自分で決めたことなのに、後になって心配になる…どういうことでしょうか。結局、自分で納得して決めていないという事ではないでしょうか。外力に押されて意図せぬ方向に追いやられた感じではないですか?
売主物件を直接購入すると仲介手数料がかからない
そうなんです!仲介業者に媒介を依頼せず、売主物件を直接買うことは可能です。売主は仲介業者という立場ではありませんから、仲介手数料を支払う必要がないんですね。高い買い物なのに、自分の味方になってくれる仲介業者を選定しなかったばっかりに、費用は抑えられたかもしれませんが、スタートから疑心暗鬼に陥っています。これって不幸だと思いませんか?
建物は建てたら終わりではありませんから、今後のメンテナンスは欠かせません。その業者とは長いお付き合いになるわけです。しかも共同住宅ですから、住民総意で建物を維持管理していくことになります。良好な信頼関係が継続しないと、建物の維持管理に支障をきたす可能性があるかもしれません。
自分で動き出す前に相談を
今回のケースは、現段階で仲介としてサポートすることは無理でしたし、建築士の立場でも、新築物件のインスペクションは無意味だと感じましたので、お力になることができませんでした。
買うも買わないも決めるのは買主さんです。でも、その選択が正しかったんだと、数年後も、数十年後も、胸を張って断言できる状態で買うことを決めてほしいと思います。
内覧時の一時の感情に左右され、後で後悔することがないように、サポートしてくれる人が必要だと思いませんか。