違法状態の中古住宅
建物は、建築基準法に則って建てられ、そこに存在しています。建築する為には建築確認申請が必要であり、その手続きによって、合法的な建物だけが建築できる仕組みになっています。
中古住宅は、新築された当時の建築基準法を遵守して建てられた住宅です。それから時が過ぎ現在に至るまで、売主さんの管理の元、そこに存在してきました。途中で法改正が行われたことにより、ある時点から「既存不適格状態」になっていることは、まぁよくあります。もっと酷い場合は確信犯的に「違法建築」になっているものもあったりしますので注意が必要です。
建築確認を伴う増改築工事
違法状態にあったとしても、自分たちが住む分には特に大きな問題はないかもしれません。ただ、購入後に増改築を思い立ち、その計画が確認申請を要するものだった場合は話が違ってきます。つまり、役所でチェックされるのは、これから増築しようとする部分だけではないのです。既存が建築基準法に違反していないか、そこもチェックされるのです。リフォームにかかる費用は増改築部分だけかと思いきや、既存を適法状態にするための工事も必要となり、費用も上に掛かるということになります。これでは、中古住宅を購入したはいいが、リフォーム工事を含めた資金計画が成り立たない、なんてことにもなりかねません。
特に役所が重きを置くのは、増改築後の耐震性です。既存住宅自体が旧耐震物件で、そもそも耐震性が期待できないような状態にあると、役所は黙っていません。今回の増改築を機に、建物全体の耐震性を引き上げることを要求してきます。耐震補強工事は150万~200万程かかりますから、この問題をクリアするのはかなり大変なことではないかと思います。それよりも何よりも、耐震性が確保されないようなリフォーム工事を計画すること自体がダメダメなのですから、物件の見極めやリフォーム計画を誰に頼むかも含めて、マイホーム購入はより慎重に行うべきなのです。
不安定な要素は極力排除すべき
既存不適格状態は致し方ないとしても、違法状態にあることを知りながら購入することは避けたいものです。また、売り出されている物件には、見えない瑕疵が潜んでいることもありますので、購入前に建物の状態を知ることはとても大切なことです。信頼できる建築士にインスペクションを依頼し、法的にはどうか、耐震性はどうか、その他考えられる瑕疵はないかなど、不安定要素の事前排除に力を入れるべきです。
また、インスペクションと同時にリフォーム計画や見積りができる建築士に依頼することで、不動産購入のスケジュールに沿ったタイムリーな対応が期待できることでしょう。