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【福岡発】中古マンションの耐震化は進むか?

 戸建てとマンションの違い

戸建て木造住宅の耐震化については、診断の仕方や補強計画の考え方・施工方法まで、比較的簡単に実施できる方法が確立しています。また、戸建て住宅は一般的に単独所有(家族所有)なので、耐震診断や耐震補強工事を実施するかどうか、速やかに決断することができます。

しかし、同じ住宅であっても、共同住宅であるマンションの場合はそう簡単にはいきません。自分が住んでいる住戸部分は建物の一部分でしかなく、建物全体にかかわる診断や工事を実施する場合は、他者の専有部分と共用部分を含めた建物全体を対象とする必要があるからです。専有部分は個人の所有ですが、共用部分は住人の共有であり、住人で構成する「管理組合」の管理下にあります。

 

マンションの耐震化は管理組合員の合意形成が重要

専有部分のリフォームなどであれば、区分所有者の判断でできることもありますが、共用部分の変更をする場合は管理組合の合意が必要になります。合意の方法としては特別決議と普通決議の2種類があるのですが、区分所有法では「形状または効用の著しい変更は集会の特別決議により決められ、それ以外の変更は集会の普通決議により決められる」というルールになっています。どのくらいの賛成があれば可決するかというと、普通決議は過半数、特別決議は4分の3以上(建て替えは5分の4以上)です。

マンションの耐震改修を実施する場合、従来は、管理組合における総会で4分の3以上の決議が必要と言われていました。建物全体の耐震診断や補強工事をするとなると、かなりの費用がかかりますし工事中の生活も大変です。過半数の人が賛成しても4分の3には届かないということで、マンションの耐震化がなかなか先に進まないという状況にありました。

ただ現在は、平成25年改正で新設された制度により、要耐震改修認定建築物と認定されれば、耐震改修工事の議決権が4分の3以上から過半数へと減じられることになったのです。合意形成の要件を緩和し、耐震工事を促進しようというわけです。

 

どうりで安いと思った…

マンションの耐震化は社会的に考えても喜ばしいことなのですが、逆に捉えると、管理組合で可決された事項には住人すべてが従わなければならないということでもあります。費用分担のことや工事中の不自由な生活のことも受け入れざるを得ないことになります。

安いと思って買ったマンションが、実は旧耐震基準の要耐震改修認定建築物だったとしたら、将来に渡って安心して生活できるかと言えばそうでもないということです。