北九州市のまちづくりは
先週、北九州で行われた「災害に強くコンパクトなまちづくりシンポジウム」に参加してきました。北九州市は、昭和38年に産業の歴史ある五つのまち(八幡、若松、戸畑、小倉、門司)が合併してできた政令指定都市です。縦横に走る鉄道を中心に市街化が進んできたものの、地理的には山地が多くその面積は市内の約4割を占めているそうです。
産業の発展に伴い人口も増加し、都市計画もそれに後押しされるように市街化区域(市街化を形成すべき区域)の線引きが行われ、住宅地は自ずと山間部に広がっていきました。福岡から北九州に車を走らせると、確かに、斜面に建つ家が多いことに気づきます。建築可能な市街化区域にも斜面地が存在しており、都市計画図を見ると、市街化調整区域(無秩序な市街化を抑制すべき区域)との堺あたりに斜面地が多いことがわかります。
これからの人口推移
2005年までは人口100万人を維持していた北九州市ですが、2015年には96万人にまで人口減少が進みました。現在もこの人口減少傾向は継続しており、2015年からの30年間で20%減少する見込みだと言われています。区ごとの人口増減率(予測値を含む)を見ると、若松区東部、門司区北部、八幡東区全域の減少率が大きいようです。
人口密度で考えてみましょう。市街化面積は変わらないまま人口が減少し続けるということは、人口密度は低下するということです。人口集中地区のことをDID地区と呼ぶのですが、北九州市におけるDID地区は、1965年から2015年の50年間で1.6倍に拡大しています。なのに、歯止めが利かない人口減少のために、DID地区の人口密度は1965年当時から2015年にかけて約4割減少しているというのです。講師の方がはっきり言われましたが、北九州市のDID人口密度は、政令都市で最も低い数字となっており、非常に強い危機感を抱いているそうです。
コンパクトシティ構想に必要な逆線引き
皮肉にも、人口増加と共に広がりすぎた市街地が、これからは重荷になりかねない状況であることがわかります。限られたマンパワーで行政サービスを充実させるためには、住民を中央に集める必要があります。市街化調整区域との堺に存在する斜面住宅地を、市街化調整区域に逆線引きすることにより、安全でコンパクトなまちづくりを推進する考え方です。個人資産の価値が下がることを考えれば、反対意見が噴出することは目に見えていますが、今ここで決断して舵を切らないと、手遅れになることもまた明らかです。
不動産業としても建築業としても、これからの北九州に期待し、その動向を見守っていきたいと思います。
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