建築士事務所は「登録」、不動産業は「許可」
不動産業を営むためには、いくつものハードルを越えて県や国に許可をもらう必要があります。要件を満たし登録するだけで仕事がスタートできる建築士事務所とは随分違います。有資格者の数、事務所の体裁、更には、問題が発生した場合に耐えうる資力があるかどうかなど、厳しい基準に照らし合わせて、不動産業の許可を与えても大丈夫か?という観点で審査されます。審査は書面上に限らず、事務所の訪問調査や面談なども行われるようになっており、許可申請の準備を始めて許可が下りるまでは、特に問題がなかったとしても数か月かかります。
消費者保護のため、資力の裏付けが求められる
開業するために一番高いハードルは営業保証金の準備です。営業保証金とは、不動産業者が営業を開始する前に供託所に供託する金銭等のことです。営業保証金の供託は、宅地建物取引業法により義務付けられています。これは消費者保護の観点から、不動産取引の相手方が損失を受けた場合に、その損失をきちんと弁済できるようにするためなのですが、その金額がすごい… 一事業者1000万円なのです!複数の支店を有する場合は、営業保証金は本店で1000万円、支店ごとに500万円を供託しなければなりません。このハードルは大手ならまだしも、全国に点在する不動産屋には到底超えられるものではありません。そこで不動産保証協会の登場です。協会に加入した場合は、本店で60万円、支店ごとに30万円の弁済業務保証金分担金を納付することで、1000万や500万の供託は免除される仕組みになっているのです。
供託することが難しい地場の小さな不動産屋は、この不動産保証協会の仕組みを利用して不動産業の許可を得ることを考えます。そしてその為に、不動産業の団体組織に加入する必要があるわけです。ハトマークグループの全宅連、うさぎマークの全日、いずれかに加入することになります。
両者はどんなふうに違うのか?
組織の大きさは歴然としています。ハトマークグループの勢力が凄まじく、加入事業者は宅建事業者の8割ほどになるのではないでしょうか。以前勤めていた会社では私もハトマークに所属していました。研修会に参加してもとにかく人が多い!しかもみんなギラギラしている(感じがする)。研修会というよりも、情報交換やうまい仕事の算段をするために集まっているような、そんな感じでした。
というわけで、いえあーるを起ち上げる際には即行うさぎの方に電話して相談しました。実際に色々な研修会などに参加してみると、少人数で和気あいあい、研修後の質問なども落ち着いてできるし、私たちには合っているようです。
ただ、消費者の皆さんにとっては、どっちがどうだということは特にないと思います。たまたまご縁のあった不動産屋さんがハトだったとかうさぎだったとか、その程度の認識で大丈夫ですから安心してください。
(追記)
「なぜ全日に加入しようと思ったのですか?」 事務所に面談に来られたうさぎの責任者の質問に、「私がうさぎ年生まれだからです!」と真面目に答えた我が夫。失笑に包まれたのは言うまでもありません…。