あるアンケート調査によると…
国の住宅施策は、省エネ・耐震・長寿命化といった「高性能化」を目指していますが、住宅業界は長らく「顧客は性能にあまり興味がない」との判断から、性能よりも間取りやデザイン性に力を入れてきました。しかし、あるアンケートによれば、住宅購入時に重要視したポイントは「長持ちする」「寒くない・暑くない」「地震が来ても倒れない」の3つが上位を占めているそうです。昨年行われた同様の調査で一位だった「家事がしやすい(動線・収納計画の充実)」は四位に転落、その後には「デザイン性が高い」「購入費用が安い」「防犯性が高い」などが続きます。
新築物件はピンキリである
恐らくこのアンケートは、新築住宅を購入した人を対象に行われた物ではないかと思います。国内の人口や世帯数から見ても、住宅戸数は供給過多の状態ですが、未だに新築分譲マンションや戸建て住宅が売り出されています。建築基準法さえ守れば、保持する性能や設備の仕様は販売会社の考え方ひとつなので、中には「住宅性能よりもデザイン性で勝負!」という会社もあるでしょう。また、購入できそうな価格で売り出す必要があるので、立地がいい物件なら建築費用を抑えめにすることを考えているかもしれません。新築物件は新品ですからそれだけで価値があるような気がしますが、どれもが高性能であるとは限らないのです。
中古物件をどう見る?
「長期優良住宅の認定」や「住宅性能評価制度」など、新築住宅の高性能ぶりを見える化する方法は既に存在しています。住宅販売会社が分譲住宅の販売を目的に、積極的にこれらのステイタスを取得して他社との差別化を図っています。国も制度の利用を推進するために、これらの物件に対しては、一般物件よりも住宅ローン減税の限度額を上乗せしたり、固定資産税の減税期間を延長したりしています。
では、中古住宅はどうでしょう?築30年も40年も経ったものは、住宅性能を語る以前の問題です。どのくらい性能が低く、劣化しているかを確認する方が現実的です。何の指標もない状態で現状を把握し、劣化改善と性能向上がどこまでできそうか、できなさそうか、あるいは、する意味がありそうか、なさそうか、冷静に見極める必要があるのです。
中古住宅でも、耐震性や省エネ性を向上させる方法はあります。が、工事をするとなると費用がかなりかかります。中古住宅を狙うなら、物件価格とリフォーム費用のバランスを考えて、購入を決断することが大切なのです。