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【福岡発】重要事項説明における耐震診断の有無に関する取り扱い

 耐震診断実施の有無は重要事項である

不動産取引に携わる宅建士として行う重要な仕事の一つに、売買契約前の重要事項説明があります。重要事項に定められた項目は多岐に渡るのですが、その一つに、耐震診断に関するものがあります。これらの項目は、平成17年に発覚した耐震構造計算偽装問題等を踏まえて、平成18年から重要事項に追加されたものです。

取引対象物件について、耐震診断実施の有無を調査し、耐震診断の記録が保存されている場合は、その内容について説明することを義務付けたものです。注意しなければならないのは、ここで言うところの耐震診断とは、ある一定の資格ある者が行った診断に限るという点です。

 

詳しく説明すると、

 

A:建築基準法77条の21第1項に規定する「指定確認検査機関」

B:建築士法2条1項に規定する「建築士」

C:住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する「登録住宅性能評価機関」

D:「地方公共団体」

の4者のいずれかが、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」4条1項に規定する基本方針のうち同条2項3号の技術上の指針となるべき事項に基づいてなされた耐震診断に限られる

 

ということです。

 

所謂、民間資格のホームインスペクションや屋根診断などの報告書があったとしても、「耐震診断実施有り」にはならないのです。

 

説明対象となるのは旧耐震物件のみ

さて、上記のような耐震診断に関する重要事項の説明は、すべての建物について実施が義務付けられているわけではありません。対象となるのは旧耐震物件のみ、建築確認済証の交付年月日が昭和56年5月31日以前の建物がこれに該当します。建築確認済証等がない場合には、建物の表題登記をもとに判断するのですが、戸建ての場合は表題登記日が昭和56年12月31日以前の建物が対象となります。区分所有建物(マンションなど)の場合は表題登記日が昭和58年5月31日以前のものが対象となります。(家屋課税台帳に建築年月日の記載がある場合も同様に判断されることになります。)

 

たとえ重要事項に指定されていなくても

建築確認済証の交付年月日が昭和56年6月1日以降の建物は、新耐震物件と呼ばれています。宅地建物取引業法施行規則としては、これらの建物について耐震診断実施の有無を調査し、重要事項として説明する義務はないわけですが、果たして新耐震物件が安全かと問われると、実はそんなこともないのです。現行の耐震基準は2000年(平成12年)に改正されたものですから、それまでに建てられた新耐震物件も、相対的には旧基準ということになります。

自分が買おうとする物件の耐震性を確認することは非常に重要なことです。リフォーム済みで一見綺麗に見える新耐震の中古住宅でも、耐震診断を実施した記録がないなら改めて耐震診断を実施すべきでしょう。

 

地震はいつ起こるのか、誰にもわかりません。中古住宅の購入を検討する際は、耐震性の確保というポイントを絶対に忘れないようにしてください。

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