年老いても生活は続く
ネット上に公開されたFP相談事例などを見ていると、人気のテーマの一つに「老後の生活資金」というものがあります。老後2000万円問題で将来の不足額を突き付けられ、まずは現状把握をしなければ!という風潮が強くなったのかもしれません。
相談の中に出てくる話題の多くは、「いつまで働くか、いつから年金を受給するか」というものです。何もしなければ不足することは間違いなさそうなので、それを打開するために今後どのような生活を送っていくべきか、そこを考えます。
収入が不足すれば貯金を切り崩す生活に
私たちの生活は、収入と支出で回っています。収入よりも支出が多ければ、貯金もできませんしいずれは破綻します。そうならないように、収入の範囲内で生活するのが基本ですし、できるだけ支出を押さえて将来の為に貯金をするのが普通です。
収入は、労働の対価として受け取れる給料がメインです。当たり前ですが、仕事を辞めるとこの収入は途絶えます。収入が途絶えても支出はゼロにはなりませんから、蓄えを切り崩しながら生活していくことになります。
年金は65歳から受給できますが、生活に十分な金額とは言えなさそうです。将来的にはもっと減ることになりそうです。年金という収入があったとしても、その範囲内で暮らすことが難しければ、やはり貯蓄を切り崩しながら生活することになります。
収入をゼロにしない
では、貯蓄の切り崩し幅をできるだけ抑えるためにはどうすべきか?答えは単純です。収入を増やすか支出を減らすか、そのどちらかです。ただ、節約して支出を減らしたとしてもゼロにはできないのですから、収入もゼロにすべきではないのです。退職後も、年金受給が始まるまでは何らかの仕事に就き収入を得ることが求められます。
特に、退職年齢で住宅ローンが完済できない場合、毎月の返済が大きな負担になることは想像に難くありません。最長35年の住宅ローンは、毎月の返済額を抑える効果は確かにありますが、収入が減ったり途絶えたりした老後において大きな負担となることも忘れてはなりません。
住宅ローンは、時間の猶予を買っているようなものです。35年という時間があるのですから、将来に渡るライフプランとキャッシュフローを意識して、毎月の返済と将来に向けた貯蓄を同時進行させる「継続力」が不可欠なのです。