令和元年5月17日に公布された改正建築物省エネ法が、来年4月からいよいよ全面施行されます。
省エネについては、平成28年11月発効の「パリ協定」により、我が国においては、2030年度のCO₂排出量を2013年度比で25%削減することが求められています。CO₂排出量と聞くと工場をイメージしがちですが、住宅・建築物分野においても4割削減という高い目標が定められています。
にも拘わらず、住宅建築に義務付けられたのは説明義務のみ!住宅の省エネ基準については、2020年までに段階を追って規制することになっていたのですが、業界の成熟度が追い付かず見送りに…。苦し紛れに創設されたのが建築士の説明義務です。
改正法では、300㎡未満の原則全ての住宅・非住宅(戸建て住宅や小規模店舗棟が対象)の新築等に係る設計の際に、建築士が建築主に対して、省エネ基準への適合の可否等を評価・説明することが義務付けられました。
具体的には次のようなステップで履行することが求められています。
- 情報提供(省エネの必要性・効果の情報提供)
- 評価・説明の実施に関する建築主の意思確認
- 設計を行う住宅・建築物の省エネ性能の評価
- 設計を行う住宅・建築物の建築主への評価結果の説明
1.は、建築士が設計に携わるならすべての建築主に行う必要がありますが、2.で、建築主が省エネ性能の評価及び説明を希望しない場合には、書面を作成することで、3.4.は省略することができるようになります。
なお、この説明義務制度は、新築だけでなく増改築も対象となっています。中古住宅を購入してリフォームをする場合、省エネ性能を向上させるためには何をすべきか、検討するきっかけにはなると思いますが、省エネ性能を高めるためにはそれなりに工事費用がかかります。専門機関に評価までしてもらうとなると尚更です。
予算内でどんな工事にいくらかけるか、優先順位を考えながらじっくり検討する必要がありそうです。
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