最近の建売住宅って、軒の出が極端に短い、もしくは全くない(軒ゼロ)ものが主流ですよね。都市部ではその傾向は顕著で、敷地を最大限有効活用するために、軒の出を少なくして外壁ラインを境界線に近づけようとします。
民法では敷地境界線から50㎝離すことが義務付けられていますが、50㎝じゃ実際のところ、カニ歩きしかできませんよ。それでも、最低限必要な間取りと面積を確保し、それに見合った最低限の敷地で済むように、建売住宅は逆算で設計されていくのです。
さて、軒の出が短い屋根は、見方によってはスタイリッシュで都会的なイメージで好まれることも多いようですが、雨漏りリスクという観点からみると、技能工による確実な施工が大前提でなければ非常に危険な形状です。
一般的に雨漏りの原因は色々ありますが、屋根と外壁が取り合う部分は特に注意したいところです。通常の屋根形状(切妻や寄棟)であれば、軒の出が十分あることによって、取り合い部分が風雨に晒される心配はほぼありません。このように、軒の出を十分とることで未然に防げる雨漏りの危険性を、敢えて冒してまで軒の出を短くするのなら、それなりの対策が当然必要です。想像してみて下さい。最近よく見かける片流れ屋根の棟部分(一番高いところ)は、そういう意味ではかなり過酷だと思いますよ。
雨漏りは木造住宅の敵! 放置しておくと木材の劣化に繋がりますから発生させないのが一番です。が、もう一点、注意が必要な点が木造住宅にはあります。それは「壁内結露」です。壁の中に湿気が貯まって結露しないように、外壁内には通気層を確保することが求められているのです。
つまり、防水と通気を共存させる施工技術がなければ、外壁や屋根を正常に保つことは難しいというわけです。外壁から屋根にかけて防水ラインを連続しつつ、適切な換気部材を使用して自然換気を妨げないようにしなければなりません。「雨漏り予防のために隙間をコーキング材で埋めてしまえばいい」というような簡単なことではないんですね。
建売業者の施工マニュアルを見ることはできませんが、リスキーなデザインによる利益の最大化と共に、正しい納まりの徹底も行われていると信じたいものです。
物件検索よりも大切なこと、それは「信頼できる相談者に巡り合うこと」
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