来る4月1日から、改正建築物省エネ法が施行されます。この制度は、省エネ基準適合の可否等を評価・説明することを義務付ける制度です。設計を委託された建築士は施主(建築主)に対して、省エネに対する理解を促し、省エネ性能を高める気持ちを持ってもらうために、必ず書面で説明することが義務付けられているのです。
建築物を建築する際には、建築士が設計を行い、確認申請の手続きを経る必要があります。建築する工務店自身が建築士事務所登録をしており、自社で設計業務を完結できる体制にあるなら問題ないのですが、工務店によっては、建築士事務所登録をしておらず、外注建築士との連携により建築工事を受注しているケースもあります。
つまり、施主との打合せや基本設計は工務店が行い、確認申請に必要な詳細設計は外注建築士が行うというスタイルです。外注建築士の仕事は確認申請の手続きを行うことに限られ、施主と直接打合せをする立場にはありません。通常、設計を行う建築士は施主との間で設計契約を交わしますが、彼らのお客様は施主ではなく工務店なのです。工務店との間で提携契約を交わし、建築確認申請一件いくらという形で業務を受託します。
このような、影武者的建築士の業務形態は以前から存在します。建築士事務所登録をしている工務店においても、社内の建築士が確認申請業務をすべて行うのは稀でしょう。法規に詳しい影武者建築士は、貴重なブレーンとして設計業務を支えてくれるパートナーなのです。
ただ、今回施行される改正建築物省エネ法では、施主から委託を受けた建築士に説明義務が課せられていますので、今まで通り影武者というわけにはいきません。
外注建築士を表に出せないからといって、建築士ではない工務店の営業マンが代わりに説明することは法令違反に該当します。また、ローコストを追求するあまり省エネ住宅を否定するような言動があれば、それも問題があります。確かに、省エネ性能を向上させるためにはそれなりの建築費用が追加で必要になりますが、ランニングコストの減少や快適性についてもきちんと説明をし、施主が冷静に判断できる状態にしなければなりません。
そもそも確認申請を受け付ける特定行政庁からすれば、確認申請業務に携わる者は委託を受けた建築士であることが前提なのです。そういう意味からすると、今までうやむやにされてきた施主と建築士の関係をはっきりさせる契機になるのかもしれませんね。
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