買主側の業者さんと思しき人から問合せの電話がありました。「中古戸建住宅の耐震基準適合証明書は発行できますか?」 質問に対する私の答えはこうです。「はい、発行することはできますよ。但し、耐震診断を実施して適合状態にあれば、ということですから、その住宅に対する証明書が発行できるかどうかは診断してみないとわかりません。」
次の質問は、「軽量鉄骨造でも可能でしょうか?」 あ~残念!軽量鉄骨造は耐震診断自体ができないのです。その辺の説明を一通りしたあとに逆質問をしてみました。「なぜ、耐震基準適合証明書が必要なのですか?もしかして、住宅ローン減税を受けるためですか?」 「はい、そうなんです。証明書が出ないならダメですよね??」
いいえ、もう一つの方法があります。
まず、木造や軽量鉄骨造の戸建て住宅の場合、住宅ローン減税の対象となるのは築20年以内という定めがありますが、一定の耐震基準を満たすことが証明されれば、それより古い物件でも対象になります。そのために必要なのが耐震基準適合証明書なのです。
そしてもう一つ、その物件が既存住宅売買瑕疵保険に加入している場合も対象となります。瑕疵保険の付保証明書があれば、現行の耐震基準に適合していなくても住宅ローン減税の対象になるのです。
ここで問題なのが、その物件が瑕疵保険に加入できる物件がどうか、という点ですが、こちらも実際のところは瑕疵保険の検査(状況調査)をしてみないと何とも言えません。劣化がひどすぎて保険の引き受けを断られるケースもあるのです。
話を聞いていると、売主側の業者が既存住宅状況調査は実施したとのこと。但し、その調査会社が瑕疵保険の加入窓口として手続きできるかどうかは未確認のようです。ここがめんどくさいところなのですが、調査や検査にはいろいろ種類がありまして、事前によく確認しておかないと、せっかくの調査結果も無駄になる、あるいは二度手間になることもあるのです。費用も余計にかかりますしね。
消去法で考えると、住宅ローン減税を受けるためにはこの方法しかないようなので、まずは、売主側の調査会社が瑕疵保険の窓口になれるかどうかを確認して、もしダメなら、瑕疵保険の検査会社を自分で探し出し、状況調査と加入手続きの相談をしてみては??とアドバイスしました。
実のところ、私たちも一級建築士事務所ですから瑕疵保険の検査と手続きはできるのですが、買主支援の一環として準備しているだけなので、今回はアドバイスに留めたのでした。
先の質問者は、終始、聞くことすべてが初耳!というような反応でしたが、随分前からこうなってますよ。耐震適合させるには補強工事が必要なこともあり、国はハードルが高いと判断したのでしょうか?耐震補強を推進する身としてはちょっと複雑な気分です。
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