アスベストは非常に優れた特性を持つことから、建築用材料として重宝されてきた過去があります。が、その一方で、粉塵を吸入することによって重篤な健康障害を引き起こすこともあり、現在は、その製造や使用が全面的に禁止されています。
これから新築される建築物にアスベストが混入することはないと考えられますが、既存建物には残留している可能性が高いということなのです。
ビルなどの大規模な建築物を解体したり改修したりする場合は、以前から、アスベストの有無に関する調査や作業計画の立案など、労働基準監督署への事前報告が義務付けられていました。が、それがなかなか徹底されないという理由から、対象となる建築物や工事内容に関して、更に大きな網を張り規制するというのです。そう、今年の4月から既に始まっているのですが、すべての建築物において、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の工事、あるいは、請負金額が税込み100万円以上の工事については、事前調査報告が義務化されたのです。
面積80㎡以上、金額100万円以上というと、かなり低いハードル(?)ですよね! 取りこぼしが無いように、個人の戸建て住宅も対象とする狙いが透けて見えるようです。「使用量が多いところから規制しようと思ったけど、うまく規制できなかったから、量は少ないけど可能性のあるところは全部つぶしていく。」そんな感じですよね。法律を守らない人たちが悪いのですが、それを規制する側の開き直り具合が凄いなぁと思って、ちょっともやもやするのです。
事前調査や報告の手間もそうですが、もし、アスベスト有と判断された場合は、適切な発生源対策やばく露防止対策を行わなければなりません。結局のところ、負担は依頼主に転嫁されるのです。
話は変わりますが、この事前調査は誰が行うかご存知ですか?
現在は、建築士が行っても良いことになっています。が、来年10月着工分からは、「建築物石綿含有建材調査者」という資格を持った人しか調査を行うことができません。着工前に有資格者が調査し、労働基準監督署と地方自治体に調査結果の報告をしなければならないのです。社内に有資格者がいなければ外注する羽目になります。
私たちも戸建て住宅のリフォーム工事に携わることがありますので、早速、この資格を取得するために講習会に行ってきました。朝9時から夜7時まで1日缶詰!結構きつかった…。
想像した通り、木造住宅におけるアスベスト利用の可能性は、限られた部分にしかないようです。が、義務化された以上、滞りなく事前調査結果を報告する責任が、元請け業者にはあるのです。 確かにアスベストは危険な材料ですし、飛散防止などの対策は間違いなく必要なことですから。
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