親世代から子世代に財産が引き継がれるのは相続のタイミングです。生前贈与という方法もありますが、税金の観点からすると相続税よりも負担が大きいので、目減りすることに対する嫌悪感もあり積極的に行う人は少ないものです。
贈与税の課税方法
贈与税の課税には、暦年課税と相続時精算課税があります。
「年間110万円までは贈与税はかからない。」と耳にしたことはありませんか?これが暦年課税です。祖父母が孫名義の口座にこつこつ貯める、あるいは、子育て世代の子どもたちを援助するつもりで、毎月一定額を振り込んであげる。そんなケースの場合、基礎控除額である110万円を超えなければ贈与税を納める必要はありません。但し、相続が発生した場合にもめないように、贈与をする、受ける、という両者の意思表示をはっきりさせておく必要があります。
もう一つの、相続時精算課税は、基礎控除額以上の贈与でも、その時点で贈与税を納める必要はなく、相続が発生した時に、相続税の計算に差し戻して精算するというものです。子世代が必要な場面に応じて先に現金で援助できるので合理的。しかも、贈与税ではなく相続税として課税されるので、損した感じも薄いのかもしれませんね。ただ、この制度を利用するためには届出が必要となります。
必要な贈与を非課税で応援
子世代が援助を希望するのはどんな時か…。おそらく、住宅取得と教育費がかかるタイミングではないかと思います。どうせ子どもたちに相続する財産ですから、役立つタイミングで譲りたいと思うのが親心。ならば、その気持ちをカタチにして経済を回してください!ということで、現在は、要件を満たせば一定額が非課税になる制度があります。
教育資金に関しては細かい取り決めがあるようですが、住宅取得に関する贈与に関しては、相続時に差し戻して精算されることもありませんので、完全に非課税扱いということになります。
子世代の住宅取得のタイミングで贈与
住宅取得に関する贈与の場合について詳しく見てみましょう。
贈与される子(孫でも可)は、
贈与年の1月1日において、18歳以上、またその年の合計所得金額が2000万以下である者。
贈与する側については、直系尊属であれば誰でもOK、つまり本人の親、祖父母、曾祖父母です。ここで注意が必要なのは、配偶者のそれらは対象にならない点です。
適用対象となる住宅用家屋は、
- 床面積が50㎡以上240㎡以下で、その2分の1以上が居住用であること
- 中古住宅については、新耐震基準に適合している住宅用家屋であること
- この制度を増改築等に利用する場合は、工事費用が100万円以上であること
住宅取得等資金としてみなされるのは、
- 対象となる居住用家屋の新築、取得、増改築等の対価
- 対象となる居住用家屋の敷地を取得するための資金
そして肝心の非課税限度額は、
- 一般的な住宅の場合は500万円
- 質の高い住宅の場合は500万円加算されて1000万円
ここで言う質の高い住宅というのは、省エネ、耐震、バリアフリーなどの要件を満たしており、有資格者等によって証明されたものです。(ここでも、良質な住宅のストックと流通を促進する狙いが、金額の差に出ていますね。)
親の援助が受けられるなら、自己資金を増やすことができますので、住宅ローンの負担軽減につながります。制度の利点を説明して相談してみては如何でしょうか。
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