③ 長寿命化リフォームという考え方

1.個人資産に補助金が付くなんて!利用しなきゃ損ですよね。

耐震性能の大きな分岐点は二つ存在します。その一つは昭和56年。同年の5月以前に建築された物は「旧耐震」と呼ばれており、現行基準と比較すると明らかに耐力不足の状態にあります。

もう一つは平成12年。同年の6月以降に建築された物は現行基準で設計されており、耐震性能は確保された状態にあります。では、この分岐点の間にある建物はどのような状態にあるのでしょうか?昭和56年6月以降平成12年5月以前に建築された物は、「新耐震」と呼ばれています。「旧耐震」よりは耐力が向上していますが、「現行基準」には満たない状態です。

旧耐震物件の補強工事に関しては市町村独自の補助金制度があり、加えて、所得税の税額控除や固定資産税の減免措置の対象となります。個人資産である住宅に公的資金が投入されるなんて、以前は考えられませんでした。しかし現在では、公共の福祉に寄与するためにも耐震化を推進すべきという考え方に変化しているのです。

が、新耐震物件については補助金制度もありませんし税制優遇も対象外です。まずは、より厳しい状態にある旧耐震物件からテコ入れして行こうという考え方なのでしょうが、新耐震物件の中にも耐震性に問題があるものは多数存在します。耐久性能という観点からすると、旧耐震物件よりも新耐震物件の方が良い状態にありますから、新耐震物件の方が、より長寿命化リフォームに値する物件だと思われます。耐震補強を施せば長寿命化のベースは整うのですから、優良な住宅ストックとしては新耐震物件の方が好ましいと考えられるのです。

そこで朗報!国交省が平成30年度予算42億円を費やして実施する「長期優良住宅化リフォーム推進事業」。耐震に限らず、長寿命化リフォームに通じる考え方や要件を併せ持ち、新耐震物件でも利用可能な補助金制度です。平成26年からスタートしたこの事業。毎年カタチを変えながら、より使いやすい補助金制度に進化しています。(※令和3年度版の詳細説明はこちら

手頃な価格に落ち着いた新耐震物件を購入し、補助金制度を上手に利用して長寿命化リフォームを実施することこそ、国の求める優良な住宅ストックの礎となり、買主さんにとっても無理のないマイホーム取得の極意となること間違いなし!なのです。

 

2.耐震性能が確保されると、「安心」の他にもいいことが・・・

中古住宅購入時には各種税金がかかります。売買契約にかかる印紙税、所有権移転及び抵当権設定にかかる登録免許税、不動産取得にかかる不動産取得税などです。これらの税金は期間による軽減措置があり、またその措置が適用されるためには要件があります。

取得する中古住宅の築年数が古い場合、必須条件となるのが耐震基準に適合しているという証です。

具体的に言うと、耐火建築物(マンション)の場合は築後25年まで、非耐火建築物(木造住宅)の場合は築後20年までなら問題ないのですが、それ以上経った物件に関しては、耐震基準に適合しているものでなければ、各種軽減措置が適用されないのです。

更に、耐震適合によりもたらされる福音として所得税の減税効果もあります。所得税は、中古住宅購入の有無に関係なくかかるものですが、住宅ローンを組んで耐震性能が確保された中古住宅を購入した人には、「住宅ローン減税」と言われる大きな減税措置があるのです。

耐震基準に適合させるために必要な補強工事を行い、耐震基準適合証明書を取得すれば、各種減税の対象となります。減税額と工事代金との関連性はないので、できれば、少し工事をするだけで簡単に適合できる状態にある物件を探したいところですよね。築年数と耐震性能はある程度比例するものなので、築20年から30年頃の物件をベースに、補助金や減税制度利用の可能性を探りながら、長寿命化リフォームの計画を含めたマイホーム取得を実現するのが得策ではないかと思われます。

 

3.住宅ローンが生活の負担になっては元も子もない!

マイホーム取得の方法は色々あります。

土地を購入して注文住宅を建てるのは王道ですが、土地の購入代金と住宅の建築費用という二つの資金を準備する必要があります。更地に建築するとなると、建物以外にかかる費用も色々あります。思いのほか安く手に入った土地が、実は建築許可をとるためには擁壁工事が必要だったり、電気・水道の引き込みを新たにするために費用がかかったり。

また、既に宅地として造成された土地には建築条件がついているのが一般的で、「決められた会社でいついつまでに建てなければならない」ということになっており、なかなか自分の思い描いたようなマイホームを建築するのは困難なのです。

建売住宅を購入するケースもあるでしょう。土地を購入して注文住宅を建てるよりも割安感はあると思います。ひとつの宅地を二区画・三区画にして分譲するやり方です。法的にはぎりぎりセーフだとしても、あんなに接近して建てるのはどうかと思うような物件もあります。冷静に考えると、割安感のある価格だとしても、支払う価格ほど価値はないのかもしれません。

 

それに比べると、「中古住宅購入×長寿命化リフォーム」は、自分で納得の家を造る満足感があるのではないでしょうか?新品の気持ちよさは、設備交換や内装リフォームによってある程度叶えることができます。建築士による診断と劣化対策によって、中古ならではの漠然とした不安も解消されることでしょう。

いずれにしても一番大事なことは、自分たち家族が、念願だったマイホームで楽しく生活することです。そのために押さえるべきポイントは、住宅ローンの返済月額です。これが生活の負担になるようならマイホーム購入が成功したとは言えません。20年、30年と返済は続きます。払い続けることができなければ、楽しい生活は崩壊してしまうのです。だからこそ買う前によく考えることが大切なのです。あらゆる可能性を探り、自分たちに合ったマイホーム取得のカタチを作り上げていくことこそが成功の秘訣なのです。

 

たとえ中古でも、快適な住まいは実現可能ですよ。

合理的だなぁとは思うものの、なんかピンと来ない…ですか?

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