三省連携で省エネリフォームをバックアップ!
「令和4年11月に創設された補助金制度は、こどもエコすまいだけじゃない!」って、知ってましたか??
2050年カーボンニュートラルの実現を目指すのは国交省だけではなく、経済産業省と環境省においても切実な目標です。
それを実現するためには、家庭部門の省エネを強力に推進する必要があります。が、住宅の断熱性がお粗末なために、家庭部門の省エネはなかなか進んでいないのが現状です。給湯器やエアコンなど、設備機器や電化製品の省エネは進んでいるのに、家という器自体の断熱性能が低いために、無駄にエネルギーを消費している現実があるのです。
それは何故か? 住宅における一定の省エネ基準はあるものの、現在はまだ義務化されていないので、未だに低性能の住宅でも建築できるからなのです。「お金がかかるなら敢えて省エネはしなくていっか!それよりも、便利で豪華な設備機器に予算を割いた方が満足感は高いよね!」という、消費者側の判断もあったりするんですね。あるいは、省エネ計算や認定手続きに不慣れな工事業者が、敢えてお勧めしない、という構図もあったりします。
今までも補助金制度はあったものの、省エネに特化した使いやすいものはなく、また、予算も少ないのが常でした。ここにきてやっと、余計な手間がかからず、計算もしやすい、使い勝手の良い補助金制度がカタチになったのです!
省エネ性能の良し悪しが、住環境にどのように影響してくるのか、だんだん認知されるようになってきました。補助金制度を有効活用することで、快適な暮らしが手に入り、更に、カーボンニュートラルの実現に寄与できるとしたら、使わない手はないですよね。
ここでは、こどもエコすまい支援事業に加えて、連携事業として創設された「住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等(経済産業省・環境省/予算1000億円)」と、「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(経済産業省/予算300億円)」について、リフォームに特化した詳しい説明を行いたいと思います。
これら三つの補助金制度はワンストップ申請が可能ですから、こどもエコすまい補助金の説明ページと合わせて、参考にしてくださいね!(^^)!
三省の立ち位置を比較してみよう。
省エネリフォームで一番効果が高いのは窓の断熱です。それから、お湯を作り出すときのエネルギー消耗も激しいので、給湯設備の効率化も重要視されています。なので、経済産業省と環境省が制度化した補助金の対象はそれだけ。
一方、国土交通省が創設した「こどもエコすまい補助金」では、省エネリフォームをベースに、更なる住環境の充実に資するリフォーム(子育て対応改修やバリアフリー改修など)にも補助金が割り当てられています。
工事内容 | 補助対象 | ||
① 経産省・環境省 | 省エネ改修 | 高断熱窓の設置 | 高性能の断熱窓 |
② 経産省 | 高効率給湯器の設置 | 高効率給湯器 | |
③ 国交省
|
開口部・躯体等の省エネ改修 | 断熱窓、断熱材、エコ設備 | |
その他の改修 | 子育て改修、バリアフリー化等 |
※ ①は「先進的窓リノベ」 ②は「給湯省エネ」 ③は「こどもエコすまい」と呼ばれることもあります。
※ ③については工事請負契約日の縛りはありませんが、①②については、令和4年11月8日以降に工事請負契約を交わしたものしか対象になりません。
省エネリフォームの要、窓断熱はどっちがお得??
窓断熱の補助額を比較してみると…。
上表を見ると分かるように、窓の断熱に関しては①及び③の制度で補助金が用意されています。
省エネ性能といっても様々なレベルがあるのですが、今回特筆すべきことは、性能レベルによって補助額も違ってくるということです。
従来の「こどもみらい補助金」では窓断熱の補助額は一定でした。断熱性能が高い窓でも低い窓でも、貰える補助金は一緒です。でも、高性能な窓の商品単価は高い…、というわけで、高性能な断熱窓はなかなか採用されなかったという経緯があります。もっと言えば、断熱地域によっては高性能な窓しか対象とならないのに、日本全国補助額は一律という不公平もあったのです。
そこで今回は、高性能な窓に対しては補助額を上乗せすることになりました。③の「こどもエコすまい補助金」の補助額を下表に示します。
分類 | 大きさの区分 | ガラス交換 | 内窓設置・外窓交換 | ドア交換 |
省エネ基準レベル | 大 | 9,000 円 | 23,000 円 | 34,000 円 |
中 | 6,000 円 | 18,000 円 |
- |
|
小 | 3,000 円 | 15,000 円 | 30,000 円 | |
ZEHレベル |
大 | 12,000 円 | 31,000 円 | 45,000 円 |
中 | 9,000 円 | 24,000 円 | - | |
小 |
3,000 円 | 20,000 円 | 40,000 円 |
ZEHレベルは、ざっくり言うと、省エネ基準レベルより20%ほど性能が高い水準です。でも、その分商品単価も上がります。補助金の上乗せがあるからZEHレベルの省エネリフォームをしよう!とはなかなかならないかも…。
住環境全体を向上させたい国交省としてはこれが精いっぱいなのかもしれません。でも、そもそもの立ち位置が違う経済産業省と環境省は、窓断熱に対する想いが熱い! ①の「先進的窓リノベ」補助金についてまとめたものが下表です。
グレード | 大きさの区分 | ガラス交換 | 内窓設置 | 外窓交換 |
SS | 大 | 48,000 円 | 124,000 円 | 183,000 円 |
中 | 30,000 円 | 84,000 円 | 136,000 円 | |
小 | 8,000 円 | 53,000 円 | 91,000 円 | |
S | 大 | 32,000 円 | 84,000 円 | 124,000 円 |
中 | 21,000 円 | 57,000 円 |
92,000 円 |
|
小 | 5,000 円 | 36,000 円 | 62,000 円 | |
A |
大 | 26,000 円 | 69,000 円 | 102,000 円 |
中 | 17,000 円 | 47,000 円 | 76,000 円 | |
小 |
4,000 円 | 30,000 円 | 51,000 円 |
※ カバー工法も、外窓交換と同額の補助が付きます。
※ ドア交換は対象外のようです。(一覧表に記述がありませんでした。)
※ ドアのガラス交換は対象外です。
見ての通り、グレードが高くなるほど補助額も上乗せされています。先ほど、断熱地域について少し触れましたが、この補助額の差は、断熱地域による不公平感を無くすためにあります。大雪が降るような北日本が必要とする断熱性能と、私たちが住む福岡県に求められる断熱性能は違うのです。補助金の対象になるためには、Sグレード以上でなければいけない地域もあるし、Aグレードで十分な地域もあるのです。福岡県は幸いなことに後者です。ZEHレベル商品の中には、Aグレード商品として認定されたものもあります。同じ商品を使って省エネリフォームを実施するなら、補助額の高い制度を使った方が負担は小さくなりますよね。
もう一つ、こちらの方に軍配が上がる理由があります。それは、内窓設置よりも外窓交換の補助額が高くなっている点です。こどもエコすまい補助金の場合、両者は同額です。でも、工事にかかる費用は圧倒的に外窓交換の方が高いのです。内窓設置は、外窓交換よりも工費圧縮や工期短縮が図れるのがお勧めポイントですが、長い目で見れば、外窓交換の方が断然いいと思います。
いかがですか?「先進的窓リノベ補助金」の方が実際に即した補助額設定が為されており、より効果的な省エネリフォームを実現することができるのではないでしょうか。
補助額だけでなく、補助上限額も雲泥の差!
先進的窓リノベ補助金は窓断熱に特化した補助金ですから、その上限額も魅力的!なんと、一戸当たり200万円です。部屋を限定して断熱するのもいいのですが、スケルトンリフォームを計画するなら全ての窓の断熱化を図りたいものです。それを叶える原動力としては、かなりインパクトがあるのでは?
断熱性能を強化すれば、工事費はそれなりに高額になりますが、半分は補助金で賄えるケースもあるとも言われていますので、検討の余地はあるのかもしれませんよ。
これは余談ですが、先日参加したサッシメーカーの販促説明会では「工費の半分相当額が補助金で賄えて、更に省エネリフォーム後の光熱費も圧縮できるので、実質ゼロ円で快適な暮らしが手に入る!」とかなり鼻息が荒い説明が…。但し、圧縮できるであろう光熱費の想定は20年間の積算です(笑)
確かに、断熱窓を販売する絶好のチャンスではありましょう。そして、省エネは国を挙げて実現すべきテーマでもあります。でも、工事費を負担してリフォームするのは個々人です。どこまで補助金を利用して省エネリフォームを実施すべきか、最終的には、自分の懐加減と相談しながら、自分で決断することが重要ですよね!(^^)!
高効率給湯設備の検討も是非!
経済産業省が創設した「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ)」の目的は、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について、高効率給湯器の導入支援を行い、その普及拡大により、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することです。そしてその先には、2050年カーボンニュートラルの実現があります。
補助金の対象となる高効率給湯設備は、以下の三種類です。
家庭用燃料電池(熱源はガス)
都市ガスやLPガス等から水素を作り、その水素と空気中の酸素の化学反応により発電するもの。エネルギーを燃やさずに直接利用するので高い発電効率が得られる。また、発電の際に発生する排熱を回収してお湯をつくるため、給湯に利用が可能。
ハイブリッド給湯機(熱源はガス)
ヒートポンプ給湯機とガス温水機器を組み合わせたもの。ふたつの熱源を効率的に用いることで、高効率な給湯が可能。
ヒートポンプ給湯機(熱源は電気)
ヒートポンプの原理を用い、冷媒の圧縮と膨張のサイクルにより、お湯を作り、お湯を貯湯タンクに蓄えて使用するもの
補助金は、それぞれの機器に対して一定額となっています。
分類 | 一般名 | 補助額 |
家庭用燃料電池 | エネファーム | 150,000 円 |
ハイブリッド給湯機 | エコジョーズ | 50,000 円 |
ヒートポンプ給湯機 | エコキュート |
高効率給湯設備は、一般的な給湯設備に比べると商品価格はお高めですが、お湯は毎日使うものですから、光熱費の削減という観点からすると初期投資の価値はあると思います。
こどもエコすまいにおける高効率給湯機の補助額は一律27,000円ですから、もし採用する予定があるなら、こちらの補助枠で申請した方がいいですね!(^^)!
補助金申請は工事事業者との協力が不可欠
こどもエコすまい補助金の説明ページでも書きましたが、補助金を勝ち取るためには、工事事業者との協力が不可欠です。
自分の希望するリフォーム工事は補助金の対象となるのか、また、工事費に対して補助金の合計額はいくらぐらいになるのかなど、全体を見通して計画を練る必要があるのです。
補助金は予算ありきなので、予算額に達するとスパッと打ち切られます。何事においてもそうですが、特に今回の補助金制度は注目の的ですから、早めに準備にとりかかることが大事なんですね。